松岡真宏「時間資本主義の到来」をビジネスに生かしたい

5分10分といった「すきま時間」が脚光を浴びています。今まで無価値だった「すきま時間」が、モバイル通信とスマホ、SNSの爆発的普及により、大きな価値を持..

【情報公開日】2015/11/25　【関連タグ】書評会社経営

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「最速資産運用」運営者より：

　5分10分といった「すきま時間」が脚光を浴びています。今まで無価値だった「すきま時間」が、モバイル通信とスマホ、SNSの爆発的普及により、大きな価値を持つようになったためです。
　「すきま時間」で出来ることは無数にあります。通信回線が繋がる限り、いつでもどこでもメールやSNSをチェックできます。気になる商品をネットで調べて購入することや、食事や旅行の予約もできます。しかも、小さなスマホを持ち歩くだけで実現します。バッテリー切れと通信容量制限に注意しなければいけませんが。

　「時間資本主義の到来:あなたの時間価値はどこまで高められるか?」を読んで再認識したことは、インターネットが生活習慣を変えてしまったことです。時間に関する概念を再構築した方がいいかもしれません。

「ITの進歩によって、変わることはほかにもある。それは、事務作業を担っていたホワイトカラーの価値が減少していくことだ」（P.49）

　ITがない時代、事務作業に一定の価値があったので、給料は高めに設定されていました。いわゆるホワイトカラー（事務職）です。
　ところが、ITによる自動化が急激に進む中、ホワイトカラーの価値は暴落しています。単純作業はもちろん、専門的な事務作業についても、ある程度は自動化されていますし、今後ITによる自動化は更に進むでしょう。

　このままでは、そう遠くない将来、一部の専門職を除いて、ホワイトカラーの存在価値がなくなります。専門職についても、自動翻訳の精度が高まれば、賃金の安い国の専門家が競争相手になるので、うかうかしていられません。
　そこで、真面目なホワイトカラーは、自分の価値（生産性）を高めることを考えます。例えば「すきま時間」を自己学習に充てるなど、最大限活用しようとします。

「時間を『やらなければいけないこと』で埋めれば埋めるほど、クリエイティブな思考は鍛えられない」（P.51）

　ですが、ここに落とし穴があります。真面目にコツコツ自己学習したところで、クリエイティビティに繋がりません。
　今の時代、クリエイティブな思考が求められていますが、進行方向が逆です。真面目にコツコツ積み重ねることも大切ですが、それだけでは他者との差別化をはかることはできません。

「伝統的エリートであるホワイトカラーは、努力すればするほど生産性が低い事務作業の仕事から逃れられないという、負のスパイラルに陥って、いわば『時間破産』とも呼ぶべき状況を迎えていく」（P.51）

　ホワイトカラーが、このような悪循環に陥る最大の理由は、学校教育にあると思われます。
　確かに、高度成長期においては、事務能力に秀でた人材が求められていました。学校教育でも事務能力を高めることを優先したので、好循環が生まれ、更なる経済発展に繋がりました。
　ですが、確実に時代は変化しています。ある意味ホラーですが、事務能力に秀でた人材が、ITの下働きをする時代が近づいています。学校教育も変化しなければいけないと強く感じます。

　ところで、この本によると、時間資本主義には２つの時間価値があるとのことです。

「１．その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される＝『節約（saving）時間価値』」
「２．その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される＝「創造（creative）時間価値」（P.64）

　上記１．の「節約時間価値」の代表例はコンビニエンスストアです。
　スーパーや百貨店に比べ、目当てのものをすぐに購入できるので、時間を節約することができます。そのため、時間の節約に価値を見出すことができる人は、値段が多少高くても積極的に利用することでしょう。
　この他には、多忙なサラリーマンの昼食が考えられます。もちろん安さや美味しさも重要ですが、時間の節約を優先する可能性が高いと思われます。極端な話し、昼食の時間が惜しいときなど、シリアルバーやゼリー飲料で済ませてしまうこともあり得ます。

　上記２．の「創造時間価値」の代表例はスターバックスです。
　コーヒーの味や風味だけでなく、心地よい時間を過ごすことに価値を見出すことができる人は、値段が多少高くても積極的に利用することでしょう。

「効率化はなるべく使わせる時間を短くする。快適化はそこで過ごす時間が長ければ長いほど価値を発揮する」（P.75）

　「節約時間価値」と「創造時間価値」は、正反対の価値を持ちます。
　それゆえ、その両者を満たすものは、最強のビジネスと言えます。その代表例が「ブランド化」です。

　特定の商品（サービス）を選べば有意義な時間を過ごすことができる（創造時間価値）と分かっていれば、選択するために調べる時間などを節約できます（節約時間価値）。すなわち、ブランド化は「節約時間価値」と「創造時間価値」の両方を満たします。しかも、商品（サービス）の値段が高ければ高いほど、逸失利益が増大するので、その価値は高まります。
　ディズニーランドやＵＳＪ（ユニバーサル・スタジオ・ジャパン）などが該当すると思われます。

「クリエイティブのヒエラルキーでトップにいる人は、むしろ時間の効率化にとらわれない。キュレーションメディアに頼るのではなく、時間をかけても原書にあたる」（P.165）

　一次情報を確認する作業は非常に大切です。
　マスコミやキュレーションメディアなどの二次情報や三次情報は、情報がまとめられているので便利な反面、元の情報を正確に伝えていない可能性があります。それゆえ、自分が「最速資産運用」等で情報発信する場合は、可能な限り一次情報を確認し、引用元として明記するように心がけています。（なお、この作業の積み重ねは、ブランド化に繋がると考えてます）

「不確実だからこそチャンスがある。リスクを取らなければ始まらない」（P.236）

　中国人の考え方らしいですが、自分もそのようになりたいです。どうしても将来に対して悲観的になってしまうので…

　この本を読んで得たものは、「節約時間価値」と「創造時間価値」の重要性と、ブランド化する明確なメリットです。時間を軸に考えると、様々なものが見えてきます。
　これらをビジネスに生かすことができれば、自分の将来は明るくなることでしょう。試行錯誤を繰り返したいと思います。

　サイト利用者の方より、ふるさと納税の控除限度額計算ソフトに関して以下のようなご質問をいただきました。

ふるさと納税について、株式の売却益はどこに参入すればよいのでしょうか？
納税できるとするサイトが多いものの、計算式が載っているサイトが見当たらないもので・・・（2015-11-23）

　ご質問ありがとうございました。株式売却益は分離課税（所得税15.315%・住民税5%）なので、他の所得（給与所得等）と合算しません。ふるさと納税の控除限度額計算ソフトは分離課税に対応していないので、限度額を試算することはできません。ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。　【追記】株式投資やFX等の申告分離課税に対応しました（2016-05-23）

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