給付金と事務経費

　“低年金者向け３万円” 〜 交付総額3390億円（＋経費230億円）、対象者1130万人を読んで、高齢者向け給付金（年金生活者等支援臨時福祉給付金）の申請受付が始まっていることを知りました。

【高齢者向け給付金の申請受付がはじまります】
賃金引き上げの恩恵が及びにくい高齢者の方へ、３万円が支給されます。申請受付期間はお住まいの市町村によって異なります。
支給要件や、各市町村の申請受付期間は、こちらでご確認ください→t.co/ovF6MAqmKE

— 厚生労働省 (@MHLWitter) 2016年3月22日

　年金受給者向けに、高齢者向け給付金が支給される反面、子育て世代への給付金は見送られた訳です（子育て世代の微妙な立ち位置（2016年度予算編成大綱）参照）。

年金生活者等支援臨時福祉給付金の概要｜厚生労働省
www.mhlw.go.jp/topics/2016/01/dl/tp0115-1-13-06...

　上記資料によると、予算計上額は総額3,624億円とのことです（補助金3,390億円、事務費234億円）。高齢者向け給付金は、平成27年度の補正予算に計上されたようなので、公表書類から金額等を確認してみます。

平成27年度厚生労働省所管一般会計歳出予算補正(第1号)各目明細書
www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/15hosei/dl/160122...

　「臨時福祉給付金等給付事業の助成に必要な経費」として、3,624億3,473万円が補正予算に追加計上されているのが分かります。
　なお「年金生活者等支援臨時福祉給付金給付事業費補助金」が高齢者向け給付金であり、3,390億円が計上されています。よって、事務費は234億3,473万円（＝3,624億3,473万円－3,390億円）となります。

　上記表をシンプルにしてみました。（単位：千円）
　

項目の区分	①H27予算	②補正予算	①＋②
職員旅費	4,360	659	5,019
臨時福祉給付金等給付事業庁費	2,292,196	1,497,459	3,789,655
臨時福祉給付金等給付事務費補助金	35,764,506	21,936,617	57,701,123
年金生活者等支援臨時福祉給付金給付事業費補助金	0	339,000,000	339,000,000
臨時福祉給付金給付事業費補助金外２目	189,948,480	0	189,948,480
計	228,009,542	362,434,735	590,444,277

　ちなみに、①H27予算は、臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金に関するものです。②補正予算の給付金の方が圧倒的に多いですね…

臨時福祉給付金｜厚生労働省 （2015年度：対象者１人につき6,000円支給）
www.2kyufu.jp/rinji/seido/index.html
子育て世帯臨時特例給付金｜厚生労働省（2015年度：対象児童1人につき3,000円支給）
www.2kyufu.jp/kosodate/seido/index.html

　今回まとめて気づいたことは、想像以上に事務経費がかかることです。①H27予算と②補正予算を合わせると、事務経費は614億円を超えます。
　それに対して給付金は総額5,289億円です。経費率は11.6％（＝614億円÷5,289億円）にもなります。さすがに、これは無駄が多いでしょう。効率化を図る余地は、いくらでもあると思いますが…

　民間企業においては、経費削減を徹底してキャッシュアウトを最小化すると同時に、利益に対して税金を支払います。
　納税者から集めた税金が、今回のように非効率的に使われるケースは多々あるのでしょうが、本当に何とかして欲しいです。

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