日本通信がMVNOを停止（でもMVNEは続けるよ）

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日本通信が8/10に実施したプレスリリースによると、個人向けSIM事業（MVNO事業）をU-NEXTに譲渡する方向で協議を開始したとのことです。www.j-com.co.jp/i..

【情報公開日】2016/08/11　【関連タグ】通信回線有価証券報告書を読んでみた節約お得

　日本通信が8/10に実施したプレスリリースによると、個人向けSIM事業（MVNO事業）をU-NEXTに譲渡する方向で協議を開始したとのことです。
www.j-com.co.jp/ir/pdf/press_160810.pdf
日本通信プレスリリース

　ただし、U-NEXTにMVNO事業を譲渡した後も、日本通信は引き続きMVNEとして関与するらしいです。SIMカードの小売りを撤退し、仲卸業者的ポジションに移行するということです。

　上記プレスリリースにもあるように、我が国における格安SIM/MVNOは、日本通信が切り開いてきました。その頃からMVNOの動向を注視し続けてきましたが、日本通信の果たした役割は非常に大きかったと思います。
　けれども、インターネット等における日本通信の評判は、必ずしも良いものだけではありませんでした。ユーザーによっては特に通信品質に関する不満が多かったようです。自分も日本通信と契約したことがありませんが、やはりインターネットにおける評判が大きく影響しています。

　ここ最近、MVNO参入事業者が増加して競争が激化したことで、日本通信は提供するMVNOプランを絞り込むだけでなく、契約者数を大幅に減らしていました。

日本通信(株)(9424) 平成29年3月期第1四半期決算短信
www.j-com.co.jp/ir/pdf/1608_results_consolidate...
日本通信(株)(9424) 平成29年3月期第1四半期決算短信

　上記画像は直近の四半期連結損益計算書で、黄色で囲んだ項目をまとめると以下のようになります。

項目	H27.6	H28.6	増減
売上高	9.5億円	6.8億円	▲2.7億円
営業損益	▲1.9億円	▲3.2億円	▲1.3億円
四半期純損益	▲1.9億円	▲3.4億円	▲1.5億円

　
　営業損失が3.2億円という惨状で、前期より更に業績が悪化しています。その最大の要因は、個人向けSIM事業の落ち込みだと推測できます。

　日本通信の財務内容を、より詳しく確認してみます。

第20期有価証券報告書｜日本通信
www.j-com.co.jp/ir/pdf/yuho_20.pdf

　上記画像は直近の有価証券報告書の連結経営指標等で、黄色で囲んだ項目をまとめると以下のようになります。

項目	H24.3	H25.3	H26.3	H27.3	H28.3
売上高	37.2億円	39,4億円	46.6億円	51.3億円	41.0億円
経常損益	2.7億円	3.5億円	7.0億円	4.6億円	▲19.9億円
純資産額	24.7億円	25.4億円	34.6億円	48.4億円	27.0億円

　売上と純資産はH27.3まで毎期伸びていますが、経常損益はH26.3をピークに減っています。H27.3に着目すると、経常利益は4.6億円と前年比2.4億円のマイナスであるにもかかわらず、逆に純資産は前年比で12億円近く増えています。売上だけでなく、売掛金や在庫が積みあがった結果だと思われます。H28.3に巨額の経常損失（▲19.9億円）を出していることを合わせて考えると、H27.3の決算は売上も純資産も水膨れ状態だったように感じます。

　今後、日本通信は個人向けSIM事業を手放してMVNEに注力するようですが、はたしてU-NEXTはどのような条件で引き受けるのでしょうか。
　U-NEXT（U-mobile）はDTI（フリービット）の回線を利用してMVNO事業を開始しましたが、7/1からはIIJの回線も利用するようになりました。

U-NEXTが「U-mobile PREMIUM」を7/1より開始。高速LTE通信が使い放題で税抜2480円/月（音声対応は税抜2980円/月）。IIJとの協業ですが、IIJの使い放題MVNOプランは初めてかな？ t.co/iijxhNmIlx
— 最速資産運用 (@mabank_j) 2016年6月9日