持家率はどこまで上昇するのか？

「最速資産運用」更新状況：

ライフプラン・シミュレーションソフトを更新

　「家計調査報告（貯蓄・負債編）」「民間給与実態統計調査」「簡易生命表の概況」のデータを更新しました。

「最速資産運用」運営者より：

　先日、直近の家計調査報告をもとにブログ記事（世帯平均貯蓄1820万円の実態）を書いたのですが、ライフプラン・シミュレーションソフトにおいても家計調査報告のデータを使用していたことを思い出したので本日更新しました。

2016年 家計調査報告（貯蓄・負債編）二人以上の世帯｜政府統計
www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=00000118...

　この中で気になったのは、持家率の動向です。住宅ローンの歴史的な低金利の影響もあり、持家率は着実に増えています。

　「8-5 世帯主の年齢階級別 二人以上の世帯」によると、持家率は前年の83.4%から84.9%へ1.5%増加しました。と言うことは、2人以上の世帯の賃貸率は15.1%（＝100%－84.9%）しかないのですか…

　持家率については年齢階級別に確認することができるので、貯蓄・負債の状況と合わせて一覧化してみます。

2016年(平成28年)

年齢階級	持家率	貯蓄	負債
29歳以下	30.0%	301万円	542万円
30～39歳	59.9%	620万円	1,191万円
40～49歳	76.6%	1,065万円	1,047万円
50～59歳	86.8%	1,802万円	591万円
60～69歳	93.3%	2,312万円	220万円
70歳以上	94.8%	2,446万円	90万円

　若年層ほど持家率は低くなりますが、30～39歳で59.9%と、50%を超えるのですね。逆に60歳以上では持ち家率が90%を超えます。


　参考までに前年（2015年）分は以下の通りです。

2015年(平成27年)

年齢階級	持家率	貯蓄	負債
29歳以下	27.5%	255万円	492万円
30～39歳	58.4%	666万円	1,015万円
40～49歳	77.2%	1,024万円	1,068万円
50～59歳	85.2%	1,751万円	645万円
60～69歳	91.6%	2,402万円	196万円
70歳以上	93.0%	2,389万円	83万円

　前年と比べると、持家率や貯蓄・負債については結構な増減があります。せっかくですので前年（2015年）との増減についてもまとめてみました。

2016年と2015年の比較

年齢階級	持家率	貯蓄	負債
29歳以下	＋2.5%	＋46万円	＋50万円
30～39歳	＋1.5%	▲46万円	＋176万円
40～49歳	▲0.6%	＋41万円	▲21万円
50～59歳	＋1.6%	＋51万円	▲54万円
60～69歳	＋1.7%	▲90万円	＋24万円
70歳以上	＋1.8%	＋57万円	＋7万円

　ほぼ全ての年齢階級で持家率は増加しています。また、多くの年齢階級で貯蓄や負債も増加しています。
　驚きなのは、60歳以上の持家率です。前年で既に90%を超えているのにもかかわらず、前年比で1%以上増加しています。さすがにこれ以上増加する余地は乏しいと思いますが、それにしても持家信仰おそるべしです。

　人口減少等の影響による空き家問題が深刻化する中、持家が「資産」であった時代は終わりを告げようとしています。もちろん、利便性の良い不動産については今後とも資産価値は高いでしょうが、一部の物件に限定されると思われます。

　終身雇用や年功序列は崩れつつあり、雇用の流動化が更に進行する可能性が高いと思われます。また、年金受給についても、受給額や受給年齢が今以上にシビアになる可能性があります。
　このように将来の収入が不透明な中、持家については「資産」ではなく「老後のセーフティーネット」と位置付けるのが無難です。ただし、築数十年の物件については修繕などの維持費が重くのしかります。

　持家については慎重に検討することをお勧めします。

【関連タグ】老後/介護 結婚/子育て マイホーム 不動産