日本国債の巻き添えを食って三菱東京UFJ銀行などがA1に格下げ

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　12/1、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本の政府債務格付を「Aa3」から「A1」に1ノッチ格下げしました。マイナス金利が発生するほど人気の高い日本国債ですが、信用格付けは逆に低下してしまいました。

[MIS]日本の政府債務格付をAa3からA1に格下げ、格付見通しは安定的
　ムーディーズは格下げについて以下の３つを理由として挙げています。

1. 財政赤字削減目標の達成可能性に関する不確実性の高まり
2. デフレ圧力の下での成長促進策のタイミングと有効性に関する不確実性
3. それに伴う中期的な日本国債の利回り上昇リスクの高まりと債務負担能力の低下

　上記2点については確かにその通りですが、3番目については首を傾げたくなります。
　プレスリーリースの中では、様々な理屈を並べて「中期的な日本国債の利回り上昇リスクの高まり」について論じています。確かに、将来的な可能性として日本国債の利回りが急上昇することを否定しませんが、現実離れした理論のように感じます。

　下記は日本国債10年間の年利回りの推移です。

　上記から分かるのは、財政赤字の増加が止まらない中、日本国債の利回りが低下傾向にあるという現実です。財政の健全化が叫ばれているにもかかわらずです。債務履行能力に疑問が持たれるのであれば、ギリシャやアルゼンチンのように、国債の利回りが上昇するはずですが、そうなってはいません。
　不自然な状況であることに違いありませんが、市場の思惑は別のところにあるようです。現在の日本が置かれた状況を、経済の教科書通りに説明することは難しいように思われます。このような状況はいつまで続くのでしょうか。
　
　ところで、今日になって日本国債の格下げの影響が明確に出始めました。2014年12月2日、ムーディーズが三菱東京UFJ銀行などを格下げしました。
　
[MJKK]日本の政府債務格付の格下げを受け邦銀5行を格下げ

• 株式会社三菱東京UFJ銀行　Aa3→A1
• 三菱UFJ信託銀行株式会社　Aa3→A1
• 株式会社三井住友銀行　Aa3→A1
• 株式会社静岡銀行　Aa3→A1
• 株式会社中国銀行　Aa3→A1

　
[MJKK]日本政府の格下げに伴い、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫を格下げ

• 日本政策投資銀行　Aa3→A1
• 商工組合中央金庫　Aa3→A1

　
　日本の金融機関は、その性格上、日本政府の格付けを超えることはできないようですが、当事者としては納得できないところでしょう。企業努力で、どんなに利益を上げても、どんなに資本を増やしても、日本政府の信用格付けが上がらない限り、A1以上になることはありません。仮に最高益を更新しても、ムーディーズにおける信用格付け評価において全く考慮されないどころか、一方的に格下げされるということです。

　ところで、ムーディーズにおいて長期格付けがAa3からA1に格下げされていない金融機関が、現時点でいくつかあります。
　主なものとして、国際協力銀行と欧州三井住友銀行が挙げられますが、これらが格下げされるのも時間の問題なのでしょうね。今後は、東京海上日動火災や日本生命といった保険会社についても格下げされる可能性が高いと思われます。

　なお、「銀行格付け比較ランキング」は、11月30日時点の長期信用格付けなので、三菱東京UFJ銀行などがの格下げは反映されていません。格下げが反映されるのは来月以降となります。

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