7.8兆円の年金運用損失の実態（金融機関の格付け動向：2015年12月）

年金積立金管理運用独立行政法人が、平成２７年度第２四半期運用状況を11/30に開示しました。2015年7月～9月の3ヶ月で、7兆8,899億円という巨額の損失が..

【情報公開日】2015/12/02　【関連タグ】老後/介護信用格付け金融株式

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「最速資産運用」運営者より：

　年金積立金管理運用独立行政法人が、平成２７年度第２四半期運用状況を11/30に開示しました。
　2015年7月～9月の3ヶ月で、7兆8,899億円という巨額の損失が発生しています。

平成２７年度第２四半期運用状況｜年金積立金管理運用独立行政法人
www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h27_q2.pdf
年金積立金管理運用独立行政法人：平成２７年度第２四半期運用状況

　損失額が大きすぎるので驚きましたが、運用資産額も135兆円と巨大なので、前期比のマイナスは5.59%にとどまっています。マイナス幅は思ったより大きくないという印象です。

　とは言っても、公的年金の将来が心配になったので、運用状況を詳しく確認してみることにしました。

　まず、運用資産別の構成割合を確認します。　
年金積立金管理運用独立行政法人：平成２７年度第２四半期運用状況

　運用資産を多い順に並べると以下のようになります。（2015年9月30日現在）

国内債券：38.95%
外国株式：21.64%
国内株式：21.35%
外国債券：16.60%
短期資産： 4.46%

　株式の割合を増やしていますが、国内債券の割合が未だに40%近くあるのですね。

　次に、各資産のベンチマークの収益率を確認します。
年金積立金管理運用独立行政法人：平成２７年度第２四半期運用状況

　2015年7月～9月のベンチマークごとの収益率は以下の通りです。外国株式と国内株式のマイナスが凄いです。

国内債券：＋0.62%
外国株式：▲11.01%
国内株式：▲12.78%
外国債券：▲0.91%

　ところが、期間を2015年4月～10月に変更すると、ベンチマークごとの収益率は以下のように変わります。

国内債券：＋0.81%
外国株式：▲1.23%
国内株式：＋1.93%
外国債券：＋0.63%

　10月に大きく市場環境が改善されたことが分かります。

　まとめると以下の通りです。

項目	構成割合	収益率
項目	構成割合	7～9月	4～10月
国内債券	38.95%	＋0.62%	＋0.81%
外国株式	21.64%	▲11.01%	▲1.23%
国内株式	21.35%	▲12.78%	＋1.93%
外国債券	16.60%	▲0.91%	＋0.63%
短期資産	4.46%	－	－

　運用状況が各資産のベンチマークにどれだけ連動しているか分かりませんが、この構成割合であれば、2015年4月から10月までの収益についてはプラスに転じている可能性が高いと思われます。
　11月以降も株式市場の動きは堅調ですし、思ったより悪い状況ではありません。ネガティブなマスコミ報道が多かったこともありホッとしました。

　ただし、手放しに喜ぶことはできません。
　10月の一ヶ月だけで一気にプラス基調に変化しましたが、これが逆方向に動く可能性もある訳ですから、やはり怖いです。

　人口減少により公的年金の担い手が減っていますが、年金を安定支給しなければなりません。年金支給の原資を捻出するにあたり、資産運用益に頼らざるを得ない状況にありますが、あまり無理をして欲しくないというのが本音です。ただ、ある程度リスクを取って運用益を狙わなければ、年金支給の原資が枯渇してしまうので悩ましいところです。

　今回の出来事で分散投資の重要性を再認識しましたが、実際に運用するとなると難しいですね。

　銀行格付け比較ランキング等を更新しました。前月と比べて格付けの変動があったものについて一覧表示します。