小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する
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[本ページはプロモーションが含まれています]「最速資産運用」更新状況:小規模企業共済を追加
小規模企業共済の賢い活用法を具体的に解説。優遇税制、優遇された掛金の前納制度、低利の貸付制度、デメリット等。 「最速資産運用」運営者より:
小規模企業共済は経営者の退職金を積み立てる公的な共済制度ですが、以下のようなメリットがあります。- 【優遇税制措置】 納付時:掛金は全額所得控除。受取時:共済金は退職所得または公的年金等の雑所得扱い。
- 【掛金前納制度】 前納減額金の受取。1年以内の前納分は支払った年度で所得控除。
- 【低利貸付制度】 事業資金等の貸付制度。低金利&無担保&無保証。

その反面、掛金納付20年未満(65歳以上の老齢給付の場合は15年未満)で解約すると元本割れするという致命的なデメリットがあります。経営者の立場から考えると、20年という年月は、あまりにも長い期間です。
小規模企業共済を20年未満で解約しても元本割れしない方法
ところが、20年未満で解約しても元本割れしない方法があります。それは請求事由が共済金か準共済金に該当するケースです。個人事業主の場合、以下の請求事由であれば、返戻率100%以上の共済金(準共済金)を受け取ることができます。 なお、2008年12月末以前の加入者であれば、個人事業を法人成りした場合も含まれます。共済金(解約手当金)について|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/051298.html
この中で最もコントロールしやすいのが、上記1.「個人事業の廃業(全部譲渡)」です。廃業届の写しを提出すれば主な要件を満たすので、極端な話し、税務署に廃業届を提出して受付印付きの控えを受け取ればOKです。事業を廃業するのに税務署の許認可は不要なので、手続き的には非常に楽だと言えます。
共済金の受取手続きの流れ(個人事業の廃業の場合)|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/customer/...
【添付書類】
- 廃業届の写し(廃業年月日が明らかで税務署の受付印があるもの)
- 印鑑証明書
- 共済契約締結証書
- マイナンバー(個人番号)確認書類
1-1 個人事業主が「配偶者又は子に事業の全部を譲渡した場合」の共済事由が引き上げられました|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/h28revisi...
ただし、個人事業を廃止しても、事業的規模の不動産貸付けが残る場合、「一部廃業」扱いされる可能性があります。個人事業の「全部廃業」が共済金を受け取るための要件ですので、「一部廃業」であれば共済金ではなく、元本割れの解約手当金になる可能性があります。そのため賃貸不動産を所有しているのであれば、「事業的規模」の解釈を含め、注意が必要だと思われます。
ちなみに、事業的規模の不動産貸付けとは、以下のようなケースです。
- 貸間、アパート等:10室以上
- 一軒家:5棟以上
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/...
共済金受取時に退職所得控除をフル活用する-1
個人事業の廃業により「共済金A」を受け取ることができます。「共済金A」の特徴は以下の通りです。- 受取総額が最も多くなる。
- 掛金納付6ヶ月以上が要件。
- 一括で受け取る場合は退職所得扱い。
共済金(解約手当金)を受け取った場合、どのような税金がかかりますか。
www.smrj.go.jp/skyosai/qa/kyosai...
ポイントは「退職所得扱い」です。退職所得は非常に優遇されているので、税負担が極小化されます。
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/...
勤続年数が2~20年の場合、退職所得控除額は以下の通りです。
- 退職所得控除額=勤続年数×40万円
- 退職所得控除額=共済加入年数×40万円
納付年数ごとに40万円控除されるので、逆に言うと、共済金が「納付年数×40万円」以内におさまるのであれば税負担がゼロになります。月換算で33,333円(≒40万円÷12ヶ月)です。
すなわち共済金の受取額が月換算33,333円以内であれば、共済金受取時の税負担を極小化できることになります。
共済金受取時に退職所得控除をフル活用する-2
実際に受け取ることができる共済金はどれぐらいなのでしょうか。公式ページに「掛金月額1万円で、平成16年4月以降に加入された場合」について例示されているので確認してみましょう。共済金(解約手当金)について ④基本共済金の額|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/051298.ht...

上記例の「共済金A」の納付年数5年のケースから、税負担を極小化する月掛金を計算してみます。
- 32,500円≒33,333円÷(共済金A:621,400円÷5年÷12ヶ月)×10,000
年数 | ①共済金A | ②(①÷月数) | ③月掛金(最適値) |
---|---|---|---|
5年 | 621,400円 | 10,356円 | 32,500円 |
10年 | 1,290,600円 | 10,755円 | 31,000円 |
15年 | 2,011,000円 | 11,172円 | 30,000円 |
正しいかどうか確認するために、実際に受け取る共済金を一覧化してみます。
年数 | 月掛金 | 掛金総額 | 共済金A |
---|---|---|---|
5年 | 32,500円 | 1,950,000円 | 2,019,550円 |
10年 | 31,000円 | 3,720,000円 | 4,000,860円 |
15年 | 30,000円 | 5,400,000円 | 6,033,000円 |
念のために各ケースについて退職所得を試算したところ、わずかながら税負担が発生しました。なお、月掛金は500円単位で指定できるので微調整することが可能です。
退職所得:節税計算機[所得等:202万円][勤続年数:5年]
saving.ma-bank.net/calc/taisyoku...
退職所得:節税計算機[所得等:401万円][勤続年数:10年]
saving.ma-bank.net/calc/taisyoku...
退職所得:節税計算機[所得等:604万円][勤続年数:15年]
saving.ma-bank.net/calc/taisyoku...
以上のことから共済金受取時の税負担を極小化する納付月額は、30,000円前後であることが分かります。なお、年数が増えるにつれて月掛金が33,333円から乖離していくのは、予定利率1%の影響で受取額が逓増するからです。
参考までに、上記例の「共済金A」の納付年数が5年・10年・15年のケースについて、年利や単純利回り、返戻率を一覧化してみました。年利等については保険返戻金の年利計算ソフトで計算しています。
年数 | 掛金総額 | 共済金A | 年利 | 単純利回り | 返戻率 |
---|---|---|---|---|---|
5年 | 600,000円 | 621,400円 | 1.39% | 0.71% | 103.56% |
10年 | 1,200,000円 | 1,290,600円 | 1.44% | 0.75% | 107.54% |
15年 | 1,800,000円 | 2,011,000円 | 1.46% | 0.78% | 111.72% |
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共済金受取時に退職所得控除をフル活用する-3
退職所得控除を活用する際に注意したいのが、別の退職所得の存在です。例えば、以下のようなケースです。これらを前年以前4年以内に受け取ると、税負担が増える可能性が非常に高くなります。収入は合算される反面、退職所得控除計算時の勤続年数は合算されないためです。よって、退職所得が複数ある場合、5年以上間隔を空けて受け取る方が有利になります。
なお、確定拠出年金の一時金を受け取る場合、「前年以前4年」が「前年以前14年」に延びることに注意が必要です。
例えば、以下の2つの退職所得がある場合について考えます。 まず「2.確定拠出年金」を受け取り、その5年後に「1.小規模企業共済」を受け取ります。順番が逆になると、15年の間隔を空ける必要が生じる可能性があるからです。
No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき|国税庁
www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2...
小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する
まとめると以下のようになります。- 小規模企業共済を20年未満で解約する場合は「個人事業の廃業」を選択。
- 事業廃業が難しい場合、配偶者や子供に個人事業を全部譲渡することを検討。
- 事業廃業時には事業的規模の不動産貸付けに注意。
- 共済金受取時の税負担が極小化される月掛金は3万円前後。
- 退職所得が複数ある場合、可能であれば5年以上間隔を空ける。
ただし、掛金納付時の所得控除による節税効果が大きい場合(例:所得税率が20%以上のケース)では、あまり気にしなくてもいいかもしれません。
また、資金繰りが大変な場合、20年未満で解約するのではなく、契約者貸付制度や一般貸付けの借換えを活用して対処することも考えられます。借入利率と予定利率の差額だけ元本割れしますが、掛金の所得控除による節税効果が上回るケースが多いと思います。
法人役員も小規模企業共済を利用可能ですが、受取総額が最も大きくなる「共済金A」の請求事由は「法人が解散した場合」しかありません。
なお、年齢・理由を問わず役員を退任した場合、元本割れしない「準共済金」を受け取ることができます。この場合、役人退任が分かる履歴事項全部証明書(謄本)があればOKです。法人役員であれば、主に所得控除による節税効果を狙うのが正解かもしれません。
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2016/10/22更新
サイト利用者の方より、ふるさと納税の控除限度額計算ソフトに関して以下のようなご指摘をいただきました。
この指摘が合っているか不安なのですが、確認していただければと思います。
ふるさと納税の控除限度額計算ソフトで給与収入600万円、社会保険料54万円と入力した場合、「詳細な試算結果」の【住民税】寄付金の税額控除額 のロで所得税率が10.21%になっています。
別ベージで紹介されている北海道HP(www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/zim/t... )によると、《正確には、地方税法第37条の2第2項第1号で規定する「地方税法第35条第2項に規定する課税総所得金額から地方税法第37条第1号イに掲げる金額を控除した金額」となります。この金額は、個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額(人的な所得控除額は、個人住民税よりも所得税の方が大きく、その差額のことです。)を控除した金額のこと》と書いてあります。北海道HPが正しければ住民税339万円-調整額5万円=334万円となり、税率も20.42%、その結果、「ロとハのいずれか低い金額」も変わってくるのではないでしょうか!?(2016-10-19)
ご指摘いただき、ありがとうございました。今回は ふるさと納税の前後で所得税率が異なるケース だと思われます。そのため【ふるさと納税の目安】においては「当初の所得税率(20.42%)と ふるさと納税後の所得税率(10.21%)が異なるので、自己負担2,000円に近づくよう再帰的に計算した」と表記しています。ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。ふるさと納税の控除限度額計算ソフトで給与収入600万円、社会保険料54万円と入力した場合、「詳細な試算結果」の【住民税】寄付金の税額控除額 のロで所得税率が10.21%になっています。
別ベージで紹介されている北海道HP(www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/zim/t... )によると、《正確には、地方税法第37条の2第2項第1号で規定する「地方税法第35条第2項に規定する課税総所得金額から地方税法第37条第1号イに掲げる金額を控除した金額」となります。この金額は、個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額(人的な所得控除額は、個人住民税よりも所得税の方が大きく、その差額のことです。)を控除した金額のこと》と書いてあります。北海道HPが正しければ住民税339万円-調整額5万円=334万円となり、税率も20.42%、その結果、「ロとハのいずれか低い金額」も変わってくるのではないでしょうか!?(2016-10-19)
【追記】先ほど確認したのですが、ふるさと納税の計算における「所得税率」は、所得税ではなく住民税の課税総所得金額によって決まります。上記回答は所得税の課税総所得金額における所得税率を採用しているため誤りです。申し訳ありません。なお、現在は再修正済みです。詳しくはふるさと納税における課税総所得金額の勘違いをご確認ください。(2016-12-19)
随時ご意見ご要望を承っております。各ページの最下部にフォームを用意していますので、お気軽にご利用いただければ幸いです。
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