富裕層が2年間で101万世帯から122万世帯に

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　野村総合研究所が、純金融資産保有額別の世帯数と資産規模の推計結果と、「NRI 富裕層アンケート調査」の調査結果を11/28に公表しました。前回は2014年11月に公表したので2年ぶりとなります。

　富裕層等の定義については以下の通りです。

超富裕層	純金融資産5億円以上
富裕層	同1億円以上5億円未満
準富裕層	同5,000万円以上1億円未満
アッパーマス層	同3,000万円以上5,000万円未満
マス層	同3,000万円未満

日本の富裕層は122万世帯、純金融資産総額は272兆円｜野村総合研究所（2016年11月）
www.nri.com/jp/news/2016/161128_1.aspx

　富裕層122万世帯の内訳ですが、富裕層114.4万世帯に超富裕層7.3万世帯を加えたものです。

超富裕層	7.3万世帯
富裕層	114.4万世帯
準富裕層	314.9万世帯
アッパーマス層	680.8万世帯
マス層	4,173.0万世帯

　ちなみに2年前の推計値は以下の通りで、富裕層は101万世帯（＝超富裕層5.4万世帯＋富裕層95.3万世帯）と推計されています。

超富裕層	5.4万世帯
富裕層	95.3万世帯
準富裕層	315.2万世帯
アッパーマス層	651.7万世帯
マス層	4,182.7万世帯

　野村総研の推計によると、2年間で富裕層が101万世帯から122万世帯に増えたことになります。準富裕層とマス層は減っていますが、超富裕層と富裕層、アッパーマス層は増えているようです。

　この「富裕層122万世帯」は「国税庁統計年報書」や「全国消費実態調査」等により推計されていますが、別の統計資料から考察してみます。

「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査] (２０１６年) ｜金融広報中央委員会（2016年11月）
www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron2016fut/

　有効回収数3,497世帯のうち、金融資産保有額が1億円以上と回答したのは15世帯なので、金額無回答245世帯を差し引くと0.46％（＝15世帯÷（3,497世帯－245世帯））となります。よって、金融資産保有額1億円以上については、平成27（2015）年6月現在、全世帯（5,036.1万世帯）の0.46％を占めると推定すると、約23.1万世帯（＝5,036.1万世帯×0.46％）となり、野村総研の122万世帯とは5倍以上の差が生じます。
　もちろん調査対象者数が3,497世帯にとどまるアンケート調査であり、しかも保有資産というデリケートな質問なので、その精度については疑問が残りますが、ここまで差があると…

　参考までに、2015年の「家計の金融行動に関する世論調査」における富裕層の推定値は64.4万世帯です（富裕層(超富裕層)の人数や保有資産について調べてみた参照）。いずれにせよ野村総研の推測値とは2倍前後の差が生じます。野村総研の推計方法がとても気になります。

　また、2000年～2015年の推計結果の推移は以下の通りとなります。富裕層の推計値については、2007年に一度ピークに達した後に低迷しましたが、2013年から再び上昇しています。


　2000年と2015年を抜き出して集計すると、富裕層の増加率が突出していることが分かります。また、総人口が10％増えていないのにもかかわらず、全ての層で10％以上増えているのは、単身世帯が増えるなどの動きがあったからだと思われます。

項目	2000年	2015年	増減率
超富裕層	6.6万世帯	7.3万世帯	＋10.6％
富裕層	76.9万世帯	114.4万世帯	＋48.7％
準富裕層	256.0万世帯	314.9万世帯	＋23.0％
アッパーマス層	575.1万世帯	680.8万世帯	＋18.3％
マス層	3,760.5万世帯	4,173.0万世帯	＋10.9％

　正直なところ、ここまで富裕層は多くない気がします（推計方法もよく分かりませんし）。ですが、野村総研という看板があるので「富裕層100万世帯以上」という数字は一人歩きしそうです。

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