みんなのクレジットが想像以上に酷かった件

ソーシャルレンディングの「みんなのクレジット」が、証券取引等監視委員会から金融商品取引法に基づく勧告を3/24に受けました。株式会社みんなのクレジッ..

【情報公開日】2017/03/27　【関連タグ】金融株式

　
　ソーシャルレンディングの「みんなのクレジット」が、証券取引等監視委員会から金融商品取引法に基づく勧告を3/24に受けました。

株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について｜証券取引等監視委員会
www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2017/2017/20170324-1.htm

　以下のような問題点が指摘されています。

貸付先の大半が親会社及びその関係会社（以下、親会社等）に集中。
設定された担保の大半は、親会社等が発行する未公開株式。
ファンドの償還資金に、他のファンド出資金を充当。
現金還元キャンペーンの原資に、ファンド出資金を充当。
代表者の返済に、ファンド出資金を充当。
親会社等の増資に、ファンド出資金を充当。
親会社の経営状況は芳しくなく、ファンドに返済することが困難。

　これでもかと言うくらい、みんなのクレジットの問題点が列挙されています。
　投資家から集めたファンド出資金を、複数の企業に貸し出すのではなく、運営会社の親会社等に貸し付けたり、親会社等の増資に充当したり、他のファンド出資金に充当したりと、やりたい放題です。しかも担保は親会社等が発行する未公開株式であり、更には親会社に返済能力が乏しいということですから、投資家が資金を回収するのは困難だろうと思われます。

　上記勧告を読む限り、ソーシャルレンディングの名を借りた親会社等の資金集めという構図にしか見えませんし、この手の話にありがちですが、自転車操業の可能性が高そうです。

　上記勧告において親会社は「甲」としか記されていませんが、みんなのクレジットの親会社は、株式会社ブルーウォールジャパンという2012年11月に設立された会社です。
bluewall.jpn.com/company/
株式会社ブルーウォールジャパン｜会社概要

　上記ページの「関連企業」に、

ソーシャルレンディング事業子会社【みんなのクレジット】

と明記されており、みんなのクレジット公式ページにリンクされていることからほぼ確実だと思われます。
　なお、資本金は4億7,770万円ありますが、決算書を見つけることができなかったので、どのような経営状況であるか把握することはできませんでした。一番知りたかったことだったので残念です。

　ところで、みんなのクレジットの設立は2015年5月21日です。

株式会社みんなのクレジット｜会社概要
m-credit.jp/company/info/

　その半年後、みんなのクレジットの親会社である株式会社ブルーウォールジャパンは、株式会社リンクアンドモチベーションから出資を受けています。2015年11月4日のことです。

「株式会社ブルーウォールジャパン」への出資に関するお知らせ｜株式会社リンクアンドモチベーション
www.lmi.ne.jp/ir/news/2015/201511041529900.html

　上記プレスリリースを読むと、株式会社ブルーウォールジャパン（の子会社である株式会社みんなのクレジット）が手掛ける「ソーシャルレンディング事業」への期待が強く感じられます。

　このリンクアンドモチベーションは、東証一部（2170）に上場している会社です。財務内容については詳しく確認していませんが、売上が5期連続で伸びているなど、将来性が期待できる印象を受けます。

IR情報財務・業績情報｜株式会社リンクアンドモチベーション
www.lmi.ne.jp/ir/finance/
IR情報財務・業績情報｜株式会社リンクアンドモチベーション

　ところが、2015年12月28日、リンクアンドモチベーションはブルーウォールジャパンとの資本提携を解消します。第三者割当増資をしてから、2ヶ月も経過していません。

株式会社ブルーウォールジャパンとの資本提携関係の解消に関するお知らせ｜株式会社リンクアンドモチベーション
www.lmi.ne.jp/ir/news/2016/201601071805905.html

　どのような事情で東証一部上場企業が出資を取りやめたのか不明ですが、わずか2ヶ月という期間の短さに危うさを感じます。

　当サイトは「最速資産運用」と名乗っている通り、様々な資産運用について取り上げています。ソーシャルレンディングについても、結構前からその存在を知っていましたし、何度かサイトで紹介することを検討しました。中でもみんなのクレジットは露出が多かったこともあり印象が残っています。
　ですが、あまりの利回りの高さと事業内容の曖昧さに警戒心が先行し、今まで掲載してきませんでした。おそらくソーシャルレンディングについては、よほどのことがない限り、今後とも投資を推奨する形で取り上げることはないと思います。と言うか、みんなのクレジットは想像以上に酷かった…

　今回の件は現在進行形であり、確定したことではありませんが、少なくともみんなのクレジットに何らかの問題があったのは事実です。ただ、個人投資家は問題があるかないかを事前に把握するのは困難です。
　と言っても、インターネットを利用すれば、投資先についてある程度のことを調べることが可能です。例えば、投資先の親会社のことや、親会社の出資をめぐるゴタゴタなどです。

　大切なお金を守るには慎重さが必要です。少しでも引っかかりを感じたら、踏みとどまった方が無難です。特に美味しい話については気を付けましょう。

追記（2017-08-09）

　東京都が貸金業法による業務停止処分を行ないました。

おすすめの資産運用記事

みんなのクレジットが2度目の業務停止処分: 最速資産運用 ma-bank.net 2017/08/09更新
東京都産業労働局が、みんなのクレジットに対する行政処分（貸金業法に基づく業務停止処分と業務改善命令）を8/2に行ないました。貸金業法に基づく業務停止処分｜東京都産業労働局 www.m..