金融機関の信頼性－１（インターネット取引）

　
　インターネットが登場するまでの金融取引と言えば、窓口に出向くか、電話やFAXでやり取りする必要がありました。また、各金融機関が提供する金融商品やキャンペーンなどの情報については、雑誌やテレビ、チラシなど入手方法が限定的でした。
　そのため、取引時間は平日の日中だけでしたし、質の高いタイムリーな金融情報の入手は困難な状況でした。

　ところが、インターネットが普及したおかげで状況は一変しました。
　金融機関は自社サイトから金融商品やキャンペーンなどの情報を適宜発信するようになりましたし、インターネット上で金融取引ができる金融機関も増えました。


　その結果、定期預金や投資信託、FXなど金融取引の選択肢が爆発的に広がりました。遠方にある金融機関であっても、インターネットを通じて素早く情報を取得し、時間や場所に縛られることなく簡単に取引できるようになったのです。

　ただし、インターネットで便利になった反面、注意すべきことも増えました。最も重要だと考えるのは、金融取引が通信回線とデジタルデータに依存していることです。

　インターネットに繋がらないと金融取引ができません。スマホやPCのネット回線だけでなく、金融機関のサーバが障害で繋がらないこともあり得ます。
　ネットに繋がったとしてもセキュリティの問題は付きまといます。実際、不正アクセスは後を絶ちません。

　金融取引はデジタルデータとしてリアルタイムで記録されます。便利な反面、データの流出や改ざん、破損などのリスクがあります。ネット取引をしたにもかかわらず、システムの不備などの理由でデータが正常に反映されない可能性も考えられます。

　そして忘れていけないこととして、通信回線とデジタルデータは電力に依存していることが挙げられます。
　例えば、大規模停電になった場合、通信できなくなるだけなく、デジタルデータを呼び出すことができないケースも考えられます。もちろん何重にもリスク回避手段が用意されていますが、福島原発事故のように「想定外」のことが起こりえます。

　インターネットの恩恵は、通信回線とデジタルデータ、そして電力に依存しているのです。
　よって、インターネット取引をする場合、可能な限り金融機関の信頼性を確認するべきですし、自分の通信環境についても複数回線を用意するなど、もしもの時の対策をすることをお勧めします。

　金融機関の信頼性については、

• 金融庁に登録されているかどうかを確認する
• 金融庁の行政処分を受けていないかを確認する
• 決算書や有価証券報告書などで財務内容を確認する
• 資本金や株主構成、信用格付けから安全性を確認する
• 複数の金融機関を比較することでセキュリティ状況を確認する

ことなどが有効です。

　また、取引明細や残高証明を定期的に発行することも効果的です。紙ベースで発行するのが最も確実ですが、PDFで発行して保存・印刷しておくのもありでしょう。

　大切な金融資産です。金融機関に任せきりにするのではなく、ある程度は自己防衛した方がいいと思います。手間はかかりますが、もしもの時のダメージは軽減されるはずです。

※金融機関の信頼性－２（外国会社）へ続く

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