年金受給者の資産運用法
老齢年金の極大化(在職老齢年金や雇用保険との調整の回避方法、年金の繰下げ受給、加給年金額と振替加算)、生活保護の併用、年金定期預金の活用など。最終更新: [本ページはプロモーションが含まれています]
【目次】年金受給者の資産運用法
- 年金受給者が第一に考えること
- 在職老齢年金とは(月51万円の壁)
- 雇用保険との調整(*65歳未満)
- 1. 失業給付
- 2. 高年齢雇用継続給付
- 在職老齢年金や雇用保険との調整の回避方法
- 1.「年金+給料」を月51万円以内に抑える
- 2. 年金の繰下げ受給を選択する(75歳まで可能)
- 3. 厚生年金保険の被保険者から外れる
- 4. 給料ではなく賞与で受け取る
- 年金の繰下げ受給
- 年金の繰上げ受給
- 加給年金と振替加算
- 1. 加給年金
- 2. 振替加算
- 生活保護の併用
- 年金受給者の資産運用方法
- 年金定期預金(年金受給者向け優遇定期貯金)
年金受給者が第一に考えること
年金受給者が資産運用をする際、第一に考えるべきことは、老齢年金の極大化です。多くの場合、ローリスク・ハイリターンが期待できます。以下のようなものが考えられます。年金を受給するには、必ず請求しなければなりません。年金受給の時効は5年なので注意が必要です。
また、年金収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合、確定申告は必要ありませんが、確定申告をした方が得するケース(例:ふるさと納税等)もあるので注意が必要です。
ご存じですか? 年金受給者の確定申告不要制度|政府広報オンライン
www.gov-online.go.jp/article/201...
高齢者と税(年金と税)|国税庁
www.nta.go.jp/publication/pamph/...
在職老齢年金とは(月51万円の壁)
資産の極大化を目指すのであれば、年金受給者が稼ぎ続けることは有力な選択肢です。けれども、年金受給者が就職していると、在職老齢年金が適用されるケースがあります。この場合、年金受給額が減額されるので「働き損」が生じます。就職している場合、年金受給額が減額されることに加え、70歳になるまで年金保険料を負担する必要が生じます。70歳になるまで支払う分、それ以降の年金受給額が増えますが、在職期間中の受給額は減額されるので微妙なところです。
在職中の年金|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
下記1.と2.の合計が月510,000円を超える場合、在職老齢年金が適用され、年金受給額が減額されます。
- 年金:基本月額(報酬比例部分のみ。除.加給年金額)
- 給料:総報酬月額(=標準報酬月額+(1年以内の標準賞与額÷12ヶ月))
在職老齢年金による調整後の年金額は以下の通りです。なお、マイナスになる場合、基本月額(報酬比例部分)は全額支給停止となります。
- 調整後の年金額=基本月額-(基本月額+総報酬月額-510,000円)÷2
70歳以上の場合、厚生年金保険の被保険者から外れるので保険料の負担はありませんが、総報酬月額については「総報酬月額に相当する額」として計算されることに注意が必要です。
在職老齢年金の計算方法|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
雇用保険との調整(*65歳未満)
65歳未満の場合、在職老齢年金だけでなく、以下の雇用保険を受給すると年金給付が制限されるので注意が必要です。- 失業給付
- 高年齢雇用継続給付
雇用保険と年金の調整|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
1. 失業給付
65歳未満の場合、失業給付(基本手当)の受給期間は、年金が全額支給停止されます。失業給付(基本手当)は以下の算式で求められます。
- ①賃金日額×②給付率×③所定給付日数
①賃金日額
上限:16,490円 |
②給付率
賃金日額 | 5,200円未満 80% | 11,490円未満 80~45% | 16,490円未満 45% |
---|
③所定給付日数
1年未満 | 5年未満 | 10年未満 | 20年未満 | 20年以上 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
---|
2. 高年齢雇用継続給付
65歳未満の場合、高年齢雇用継続給付の受給期間は、在職老齢年金に加えて、年金が一部支給停止されます。高年齢雇用継続給付の要件等は以下の通りです。
在職老齢年金や雇用保険との調整の回避方法
在職老齢年金や雇用保険との調整を回避するためには、以下のような方法が考えられます。1.「年金+給料」を月51万円以内に抑える
65歳以上であれば、「年金+給料」を月510,000円以内に抑えることを検討します。ただし、給料が減る分、老後のライフプランが厳しくなる可能性があります。2. 年金の繰下げ受給を選択する(75歳まで可能)
75歳未満であれば、後述する「年金の繰下げ受給」を選択することを検討します。なお、在職老齢年金の適用を受けないので年金受給額自体は減額されませんが、繰下げ受給の増額対象は調整後の年金額になることに注意が必要です。また、年金の繰下げ受給を選択したことにより、75才までのライフプランが厳しくなる可能性や、年金の総受給額が減る可能性などがあります。
3. 厚生年金保険の被保険者から外れる
厚生年金保険の被保険者の要件は以下の通りです。- 労働日数等が正社員の4分3以上
- 従業員数51人以上の会社で週20時間以上働いて給料が月8.8万円以上の場合
例えば、勤務先が常勤5人未満の個人の事業所であれば、健康保険の任意適用事業所でない限り、厚生年金保険の被保険者となることができません。また、労働日数を減らすことにより、厚生年金保険の被保険者から外れることも可能です。
上記のような方法で厚生年金保険の被保険者から外れることで、在職老齢年金の適用を受けないだけでなく、70歳未満であれば保険料の負担もなくなります。ただし、給料が減るケースも考えられるので、老後のライフプランが厳しくなる可能性があります。
なお、65歳未満で年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を同時受給する場合、雇用保険の要件である「所定労働時間が週20時間以上」を満たすことに注意が必要です。
適用事業所と被保険者|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/kounen/...
4. 給料ではなく賞与で受け取る
賞与の場合、標準賞与額は支給1回につき150万円が上限となります。この「標準賞与額の上限150万円」を活用することにより、年金受給額を増やすことが可能です。厚生年金保険の保険料|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/kounen/...
標準報酬月額・標準賞与額とは?|全国健康保険協会
www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320...
具体的には以下の通りです。
- 年間の給料総額が同一になるように、月々の給料を賞与に振り替える。
- 賞与1回あたり150万円を超えて受け取る。
例えば、「給料月額50万円&年金月額10万円」を受け取っていた場合、合計で月60万円(=50万円+10万円)となるので、在職老齢年金が適用され、年金受給額が減額されます。この場合の年間の給料総額は600万円(=50万円×12ケ月)です。
これを「給料月額8万円&賞与504万円&年金月額10万円」に変更すると、「給料月額8万円」の標準報酬月額は7.8万円、「賞与504万円」の標準賞与額は上限の150万円なので、合計で月30.3万円(=7.8万円+(150万円÷12ケ月)+10万円)となります。「月51万円の壁」の範囲内に収まるので在職老齢年金は適用されません。なお、年間の給料総額は600万円(=8万円×12ケ月+504万円)なので変更前と同一です。
ただし、役員賞与は原則的に必要経費にならないので、役員の場合、「事前確定届出給与」を役員賞与のように利用する必要があります。事前確定届出給与については細かい約束事が多いので、詳細については下記ページを確認することを強くお勧めします。
役員報酬(事前確定届出給与)で節税|最速節税対策
saving.ma-bank.net/word/51/
年金の繰下げ受給
老齢年金の受給を65歳で請求せずに、66歳~75歳に請求した場合、繰下げ加算額が年金に上乗せされます。この場合、年金支給の繰下げの請求をした年齢に応じて増額率が決まります。- 繰下げ加算額=繰下げ対象額×増額率
増減率は「繰下げ月数×0.7%」で最大84%です。
厚生年金の場合、繰下げ対象額は、原則的に65歳時点の老齢厚生年金額です。ただし、65歳以後も被保険者であった場合、在職老齢年金を適用したと仮定した場合に支給される調整後の年金額となります。
老齢厚生年金と老齢基礎年金は、それぞれ繰下げ時期を選択できます。
なお、特別支給の老齢厚生年金については、繰下げ制度がないので注意が必要です。また、加給年金額や振替加算額については、繰下げしても増額されません。
年金の繰下げ受給|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
年金の繰下げ受給を選択した場合、生活資金が不足する怖れがあります。その場合、以下のような方法でカバーすることが可能です。
いずれも税制優遇措置がある上に60歳から受給可能なので、年金の繰下げ受給に伴なう不足分を補うのには最適だと思います。特にiDeCo(確定拠出年金)は節税効果が抜群なので活用をすることをお勧めします。なお、個人年金保険については「60歳支給開始」のプランを選択する必要があります。
年金の繰上げ受給
老齢年金の受給を65歳で請求せずに、60歳から64歳までの間に請求した場合、年金が減額されます。この場合、年金支給の繰上げの請求をした年齢に応じて減額率が決まります。減額率は「繰上げ月数×0.4%」で最大24%です。
年金の繰上げ受給は、60歳から年金を受給できるというメリットがありますが、その反面、減額率に応じて年金受給額が生涯減額されるなどのデメリットがあります。この他にも注意点がいくつかあるので下記公式ページを確認することを強くお勧めします。
年金の繰上げ受給|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
加給年金と振替加算
老齢年金には以下の加算額があります。- 加給年金
- 振替加算
加給年金額と振替加算|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/jukyu/s...
1. 加給年金
年金受給者に生計を維持されている配偶者か子供がいる場合、加給年金を上乗せして受給できます。- 要件
- 加算年金額(2025年4月現在)
なお、「生計を維持」の年収要件は850万円(※年間所得655.5万円)未満と物凄く緩いので、該当するケースは結構多いと思われます。
生計維持|日本年金機構
www.nenkin.go.jp/service/yougo/s...
生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕|厚生労働省年金局長通知
www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=...
2. 振替加算
配偶者分の「1. 加給年金」を受給していた場合、配偶者が65歳になると打ち切られます。すると、配偶者の年金受給開始と同時に、「振替加算」として配偶者の年金に変わります。振替加算を受給するには、配偶者の生年月日が昭和41年4月1日以前等の諸要件があります。
生活保護の併用
年金受給額が生活保護を下回る場合、不足分について生活保護を受けることが可能です。[スポンサーリンク]
年金受給者の資産運用方法
年金受給者の資産運用方法として第一に挙げられるのは、前述した通り老齢年金の極大化です。次に挙げられるのは、定期預金や個人向け国債など、リスクの少ない安全な運用法です。
定期預金で運用する場合、各金融機関の優遇措置(預金残高50万円以上でATMや振込手数料が無料等)を積極的に利用したいところです。
所得税を納税している場合は、ふるさと納税がお勧めです。
クレジットカードを利用して、ポイントを無理なく貯める方法もあります。ただし、使い過ぎだけでなく、リボ払いやキャッシングには注意が必要です。
QRコード決済(スマホアプリ決済)を利用して、ポイントを貯めたり、キャンペーンを活用する方法もあります。
ある程度のリスクを取るのであれば、NISA等で株式やインデックス投信に投資をして、値上り益や配当を狙うことを考えます。
また、ローリスクで株主優待を狙うことも可能です。
年金定期預金(年金受給者向け優遇定期貯金)
金融機関によっては、年金受給者向けに金利を優遇する定期預金を取り扱っています。退職金の受取や公的年金の受給口座を開設することが主な要件ですが、それに加えて仕組預金や外貨預金、投資信託等のセット購入が要件となっている場合があるので注意が必要です。三井住友信託銀行:退職金特別プラン ご退職予定者向け特別プラン 定期預金コース
www.smtb.jp/personal/saving/seco...
三菱UFJ信託銀行:ご退職者特別プラン
safe.tr.mufg.jp/cgi-bin/plan/tai...
りそな銀行:退職金コース(りそなの資金運用プラン)
www.resonabank.co.jp/kojin/taish...
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