金融機関等の破綻で保護される範囲

銀行・保険会社(生保、損保)・証券会社・先物取引業者が破綻した場合、公的に保護される範囲や信託銀行による分別管理や、投資家保護がないケースについて解説します。
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 金融機関等が破綻した場合、預けている金融商品等はどこまで保護されるのでしょうか。同じ金融商品でも預け先によって保護範囲が異なることもありますし、利回りだけでなく破綻リスクも考慮しながら資産運用することをお勧めします。
 
  1. 銀行(*1,000万円まで保護)
  2. 農業協同組合等(*1,000万円まで保護)
  3. 生命保険会社(*90%まで保護)
  4. 損害保険会社(*80~90%まで保護)
  5. 証券会社(*1,000万円まで保護)
  6. 商品先物取引業者(*1,000万円まで保護)
  7. 信託銀行による分別管理(*全額保護)
  8. 投資家保護がない金融商品
  9. その他(商品券やポイント等)
  10. 金融機関等が破綻した場合の手順
 

銀行(*1,000万円まで保護)

 定期預金等を預け入れている銀行経営破綻した場合、預金保険法に基づく預金保険機構により、原則的に1,000万円まで保護されます。

預金保険機構
www.dic.go.jp/
預金保険法
elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSe...
 
補償対象債権 保護の範囲
一般預金等(定期預金等) 1金融機関あたり元本1,000万円+破綻日までの利息等
決済性預金(当座預金等) 全額保護
外貨預金、譲渡性預金、金融債など 保護対象外
個人向け国債 保護対象外(*ただし、振替国債として全額権利保護。別の取扱機関へ移すことが可能
個人変額年金 保護対象外(*ただし、生命保険契約者保護機構の保護対象)
投資信託 保護対象外(*ただし、信託財産として管理する信託銀行により全額保護)
FX、先物取引、オプション取引など 保護対象外(*ただし、信託財産として管理する信託銀行により全額保護)
 
 銀行(含.信託銀行)だけでなく、信用金庫、信用組合、労働金庫も預金保護の対象です。ただし、農協や漁協、外国銀行の在日支店などは対象外ですので、対象金融機関に該当するか否かを、取引前に確認しておくことをお勧めします。

対象金融機関一覧表
www.dic.go.jp/yokinsha/kikan.html
 

農業協同組合等(*1,000万円まで保護)

 農協や漁協、農林中央金庫については、農水産業協同組合貯金保険法に基づく農水産業協同組合貯金保険機構により原則的に1,000万円まで保護されます。

農水産業協同組合貯金保険機構
www.sic.or.jp/
農水産業協同組合貯金保険法
elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSe...
 
 補償対象債権や保護の範囲は、銀行と同様です。対象となる組合は下記ページの通りです。

貯金保険制度に加入している組合
www.sic.or.jp/abstract-3/
 

生命保険会社(*90%まで保護)

 生命保険契約をしている生命保険会社経営破綻した場合、生命保険契約者保護機構により、原則的に破綻時点の責任準備金等の90%まで保護されます。

生命保険契約者保護機構
www.seihohogo.jp/
 
補償対象債権 保護の範囲
高予定利率契約以外の生命保険 破綻時点の責任準備金等の90%まで保護
高予定利率契約の生命保険 破綻時点の責任準備金等の高予定利率契約の補償率まで保護
 
 高予定利率契約とは、破綻時に過去5年間で常に予定利率が基準利率を超えていた契約です。
  • 基準利率:現在の基準利率は3%(*適宜見直し)
  • 高予定利率契約の補償率=90%-((過去5年間の各年の予定利率-基準利率)の総和÷2)
 なお、運用実績連動型保険契約の特定特別勘定については、保護対象外となります。

 国内で事業を行う全ての生命保険会社生命保険契約者保護の対象です。ただし、再保険専門会社・共済・少額短期保険業者・特定保険業者など、保険業法により加入義務のない会社は対象外ですので、対象生命保険会社に該当するか否かを、取引前に確認しておくことをお勧めします。

生命保険契約者保護機構 会員会社一覧
www.seihohogo.jp/list.html
 

損害保険会社(*80~90%まで保護)

 損害保険契約をしている損害保険会社経営破綻した場合、損害保険契約者保護機構により保護されます。補償割合は保険契約ごとに異なります。

損害保険契約者保護機構
www.sonpohogo.or.jp/
 
補償対象債権 保護の範囲
自動車保険火災保険 原則的に80%まで保護 (注1)
疾病・障害に関する保険 原則的に90%まで保護 (注2) (注3)
自賠責保険・家計地震保険 全額保護
 
 保護の範囲は、保険金支払いと解約(満期)返戻金で異なります。
  • 注1…保険金支払いについては破綻後3ヶ月間は全額保護。
  • 注2…短期傷害保険や海外旅行傷害保険は80%まで保護(保険金支払いについては破綻後3ヶ月間は全額保護)。
  • 注3…所得補償保険等の積立型保険の場合、解約(満期)返戻金については80%まで保護。

 国内で事業を行う全ての損害保険会社損害保険契約者保護の対象です。ただし、再保険専門会社・共済・少額短期保険業者・特定保険業者など、保険業法により加入義務のない会社は対象外ですので、対象損害保険会社に該当するか否かを、取引前に確認しておくことをお勧めします。

損害保険契約者保護機構 会員会社一覧
www.sonpohogo.or.jp/05.html
 
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証券会社(*1,000万円まで保護)

 株式等を預け入れている証券会社経営破綻した場合、原則的に信託財産として分別管理する信託銀行により全額保護されます。
 この分別管理制度は法律で定められていますが、万が一、証券会社の分別管理が不十分だった等の不測の事態が生じても、日本投資者保護基金により、原則的に1,000万円まで保護されます。

日本投資者保護基金
jipf.or.jp/
 
補償対象債権 保護の範囲
国内外の株式・債券投資信託、くりっく株365取引や日経225先物取引等の証拠金 1つの証券会社あたり1,000万円まで
FX(含.くりっく365)、CFD、オプション取引、先物取引など 保護対象外(*ただし、信託財産として管理する信託銀行により全額保護)
 
 証券会社は、第一種金融商品取引業を営むので、日本投資者保護基金への加入が金融商品取引法により義務付けられています。

会員一覧
jipf.or.jp/about/member/
 

商品先物取引業者(*1,000万円まで保護)

 商品先物の証拠金を預け入れている商品先物取引業者が経営破綻した場合でも、分離保管制度(日本商品清算機構等への預託)により、一定額保護されます。

日本商品清算機構
www.jcch.co.jp/

 この分離保管制度は法律で定められていますが、万が一、商品先物取引業者の分離保管が不十分だった等の不測の事態が生じても、商品先物取引法に基づく日本商品委託者保護基金により、原則的に1,000万円まで保護されます。

日本商品委託者保護基金
www.hogokikin.or.jp/
商品先物取引法
elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSe...
 
補償対象債権 保護の範囲
先物取引の証拠金 1つの商品先物取引業者あたり1,000万円まで

 商品先物取引業者(商品取引員)は、日本商品委託者保護基金への加入が商品先物取引法により義務付けられています。

会員名簿
www.hogokikin.or.jp/meibo.htm
 

信託銀行による分別管理(*全額保護)

 金融機関で購入可能な商品の大半は、上述の通り公的保護の対象ですが、例外もあります。銀行証券会社におけるFX・先物取引・オプション取引のほか、銀行が扱う投資信託などについては、公的保護の対象外です。
 ただし、これらについては、信託財産として分別管理することが法律で義務付けられています。

 分別管理先は、信託銀行等になります。信託法第二十五条により、信託銀行(受託者)が破綻した場合でも、信託銀行の財産と完全に切り離されるので、信託財産は法的に全額保護されます。

 そのため、非常に安全な制度と言えますが、注意点もあります。
  1. 基準日と信託設定日に時間差が発生する場合、信託されるまでは保全対象にならない。
  2. 分別管理が不十分で適切に信託されなかった場合、保全対象にならない。

 特に上記2.については、システム障害や急激な市場の変動のように、突発的に分別管理が不十分になるケースが考えられるので注意が必要です。これらについては分別管理の例外規定として明示されている可能性があります。金融機関選びの際には約款等のチェックは必要不可欠と言えます。

投資信託|一般社団法人信託協会
www.shintaku-kyokai.or.jp/produc...
加盟会社一覧
www.shintaku-kyokai.or.jp/profil...
 

投資家保護がない金融商品

 下記金融商品については投資家保護制度が存在しません。
  • 共済(都道府県民共済・コープ共済・全労済・JA共済等)
  • 少額短期保険
  • 暗号資産(仮想通貨)
  • ソーシャルレンディング
  • 投資型クラウドファンディング
 上記商品を取り扱う金融業者が破綻した場合、公的な保護を受けることができません。なお、一部の暗号資産業者などは独自に信託保全をしていますが、業界全体に広がる動きは見受けられません。

 また、外国銀行の在日支店が取り扱う金融商品についても公的な投資家保護はありません。個別商品では外貨預金や金融債などが保護対象外です

 投資家保護がない場合、業者の信用性から判断するしかありません。主なチェック項目としては、
  • 信託保全(分別管理)の有無
  • 所轄官庁による行政処分の有無
  • 財務情報(特にキャッシュフロー計算書)
  • 株主等(親会社や関連会社)の財務情報等
  • 公認会計士による外部監査が入っているか否か
などが考えられます。

 投資先の信用性を見極める自信がない場合は、専門家にチェックを依頼したり、投資を再検討するなどの慎重な対応が必要となりますが、複数の金融業者への分散投資も一方策だと思われます。
 

その他(商品券やポイント等)

 百貨店等が発行する商品券については、法務局などに発行額の半額が供託されているので、発行会社が破たんした場合でも原則的に50%は戻ってきます。ただし、還付手続きが必要で、かつ、受付期限が定められているので注意が必要です。

 ポイントについては、原則的にポイントが廃止されたとしても、発行会社は一切の賠償責任を負わないことになっています。しかも事前通知なしで廃止できるポイントも存在します。ポイント発行会社が破綻した場合、ポイントサービスを他社が引き継ぐことで、引き続き利用できる可能性はありますが、あまり期待しない方がいいと思われます。


金融機関等が破綻した場合の手順

 金融機関等が破綻した場合、管財人などから財産保護等に関する通知が届きますが、迅速な対応を望むことは困難です。

 情報収集の第一歩として、所轄官庁である金融庁のご利用をお勧めします。金融庁の公式サイトを通して必要な情報が適宜提供されますし、電話での個別相談窓口も受け付けています。

金融サービス利用者相談室
www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/
 
 ところで、上述のような様々なセーフティーネットにより、一定額については法律で保護されていますが、それを超える部分についてはどうなのでしょうか。

 保護対象を超える部分については、破綻した金融機関等の残余財産に応じて支払われます。ただし、全額戻ってくることは期待できませんし、支払いまで長い時間がかかることが予想されます。金融機関が破たんした場合の相談先については、資産運用や投資に関する相談先をご確認下さい。

 

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