iDeCo(確定拠出年金)で無理なく賢く節税

iDeCo(確定拠出年金)で賢く節税するポイントを解説。
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 確定拠出年金は、アメリカ版401Kプランを参考に導入された年金制度で、2001年10月に施行された確定拠出年金法や確定給付企業年金法に基づきます。国民年金第2号被保険者(会社員等)の厚生年金基金と同様に、公的年金(国民年金や厚生年金)に上乗せされます。ちなみに、厚生年金基金は受取額が確定しているので確定給付型と呼ばれます。
 それに対して、確定拠出年金は掛金の額が確定している反面、受取額は運用実績によって変動し、場合によっては元本割れすることもあります。運用先は、本人が決めなければならないので、自己責任が強く求められます
 

【目次】iDeCo(確定拠出年金)


 

確定拠出年金のメリット(特徴)

  • 有利な掛金
    • 個人型年金:掛金全額が所得税の所得控除対象
    • 企業型年金:「生涯設計手当」という形で企業が掛金全額を負担
  • 有利な税金
    • 運用益:非課税
    • 給付金(*4種類)
      • 老齢給付金:一時金(退職所得)か年金(公的年金等の雑所得)を選択。
      • 障害給付金:非課税。(確定拠出年金法第32条第2項)
      • 死亡一時金相続税。3年以内に支給額が確定した場合、相続財産とみなされる退職手当等の非課税枠(=500万円×法定相続人数)に該当。
      • 脱退一時金:一時所得。(*国民年金保険料の免除猶予&通算掛金拠出期間5年以下等の要件を満たした場合のみ)
  • 手数料が無料
    • 配分変更(毎月買い付ける運用商品の変更)の手数料が無料
    • スイッチング(保有資産の変更)の手数料が無料。ただし、運用商品によっては換金手数料(*信託財産留保額)が必要となる。
  • 期間
    • 掛金:65歳になるまで拠出可能
    • 運用:75歳になるまで運用可能
  • 給付金を差し押さえることができない。ただし、国税滞納時には老齢給付金と死亡一時金を差押え可能。(確定拠出年金法第32条)
  • 原則的に毎月一定額の掛金を拠出するが、年単位拠出が可能(*加入者月別掛金額登録・変更届の提出が必要)。
  • 離転職時には年金資産の移動が可能であり、かつ、課税されない。
  • 加入者は運用方法を指図することができ、年金資産残高を常に把握できる。
 

確定拠出年金の種類

 確定拠出年金には個人型年金(iDeCo)と企業型年金(企業型DC)があります。
項目 個人型年金(iDeCo) 企業型年金(企業型DC)
拠出限度額 月12,000円~68,000円
(※加入者によって異なる)
月27,500円~55,000円
(※厚生年金基金の実施状況によって異なる)
掛金 掛金全額が所得税の所得控除対象。 掛金は企業が全額負担。
実施主体 国民年金基金連合会 企業型年金規約の承認を受けた企業
備考
【実施主体である企業のメリット】
・厚生年金基金と異なり追加費用負担なし。
・掛金全額を法人税の損金として処理。
選択制確定拠出年金の活用で節税

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 個人型年金(iDeCo)の拠出限度額は加入者によって異なります。特に会社員の場合、勤務先が企業型年金に加入しているかどうかで拠出限度額が変わるので注意が必要です。

iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
www.ideco-koushiki.jp/
確定拠出年金制度の概要|厚生労働省
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsui...
 

個人型年金(iDeCo)の拠出限度額

加入者個人型年金
(iDeCo)
拠出限度額
企業型年金
確定拠出型
(企業型DC)
確定給付型
(DB)
会社員等月12,000円
×
月20,000円×
月23,000円×
公務員等月12,000円
専業主婦月23,000円
自営業者等
任意加入被保険者
月68,000円

 企業型年金を実施する企業に勤務する会社員は、企業型年金だけでなく、個人型年金にも加入できます。ただし、「企業型年金+個人型年金」の拠出限度額の合計は変わりません。

 例えば、個人型年金を限度額一杯まで拠出した場合、拠出限度額は以下のようになります。
①企業型年金②個人型年金拠出限度額
(①+②)
確定拠出型35,000円20,000円月55,000円
確定給付型15,500円12,000円月27,500円

 また、自営業者等(国民年金第1号被保険者)の個人型年金の拠出限度額は、国民年金基金の限度額(月68,000円)付加年金(月400円)と拠出限度枠を共有していることに注意する必要があります。

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確定拠出年金のデメリット

  • 特別法人税1.173%(2026年3月31日まで凍結中)が将来復活する可能性あり
  • 加入者は投資リスクを負うことになり、運用が不調であれば受給額が減る
  • 老齢給付金(年金額)が事前に確定しない。
  • 運用するために一定の知識が必要。
  • 原則的に60歳まで途中引き出しができない
  • 加入期間が10年未満の場合、61歳(最長65歳)まで受給開始年齢が繰り下げられる
  • 口座管理料などの運用費用がかかる
  • 掛金の金額変更は年1回だけしかできない(掛金最低額5,000円。1,000円単位)。
 

金融機関破綻した場合

 あまり考えたくないことですが、金融機関破綻するリスクがあります。万一破綻した場合でも、公的な保護制度が用意されているので、保護される範囲等について取引前に確認しておくことをお勧めします。

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確定拠出年金の節税のポイント

A.運用益が非課税な点を狙う
運用益が非課税なので、節税に繋がりますし、複利効果も期待できます。
利回りの高い投資信託などで資産運用している場合、確定拠出年金に切り替えることを検討する価値があります。
iDeCoは65歳になると掛金を拠出できなくなりますが、運用については75歳まで可能なので、最長75歳まで運用益非課税の恩恵を受けることができます。
B.所得控除で節税をはかる
個人型年金の場合、月の掛金は加入者に応じて12,000円~68,000円、すなわち年額では144,000円~816,000円が最大になります。これらは全額、小規模企業共済等掛金控除として所得税において控除されます。所得税率が10%ならば14,400円~81,600円、20%ならば28,800円~163,200円、所得税の負担が減り、節税が実現します。
住民税についても全額控除されるので、税負担額はさらに減ります。
所得が多い人ほど所得控除の恩恵を受けることになります。
【確定拠出年金(iDeCo)専用】SBI証券
C.退職所得控除で節税をはかる
年金を一時金として一括受給することを選択した場合、退職所得控除が適用されるため節税できます。
控除額は、40万円×掛金拠出年数(掛金拠出年数が20年未満の場合)となります。
前年以前14年以内に別の退職所得(例:小規模企業共済の一括受取)がある場合、税負担が増える可能性が高くなるので注意が必要です(参考:小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する)。
D.掛金の拠出期間を利用する
掛金の拠出が10年以上の場合、60歳以降(75歳まで)一括して年金受給をすることが可能です。
逆に言えば、50歳であれば10年後には引き出せるので、後述する定期預金で運用すれば「10年もの積立預金」となります。この場合、所得控除額を年利換算すると(所得金額によって変動しますが)相当な利回りになると思われます。
E.リスク分散して節税効果を高める
運用商品は株式投資信託が多いですが、定期預金債券型の投資信託も用意されています。
運営管理機関によりますが1円単位で運用商品を選べますし、手数料無料で運用商品を随時入れ替えることが可能なので、通常の金融商品に比べてリスク分散がしやすくなります。
運営管理機関によって運用商品は異なるので、口座管理料や各商品の手数料等を吟味した上で、運営管理機関を選択することをお勧めします。

 

定期預金を活用した超低リスク運用法

 リスクを回避するために定期預金で全額運用することも可能です。
 よって、口座管理料などの運用費用よりも所得控除の額が多い場合、以下の経済的利益を受けることになります。
  • 経済的利益=定期預金利子+所得控除-運用費用
 この場合、一金融機関1,000万円までなら元利保証されます。また、固定金利1年の自動継続型を選択することで、ある程度はインフレに備えることも可能です。
 

リスクとリターン

 iDeCo(*定期預金)のリスクとリターンは以下の通りです。 詳細を見る
iDeCo(*定期預金)
 投資初級者レベル (*少し難しい)
 それなりのリターン
超低リスク (*リスク内訳)
 価格変動
 信用
 為替
 流動性
 金利変動
 インフレ
 

個人型確定拠出年金(iDeCo)の運用商品

 iDeCoの導入前に、運用方法についても検討しておく必要があります。魅力的な運用商品がなければ、iDeCoのメリットを最大限生かすことはできません。
 SBI証券「iDeCoセレクトプラン」であれば、超低リスクの定期預金等に加え、以下のようなインデックス投信が運用商品としてラインナップされています。おそらく運用商品が最も充実している運営管理機関だと思われます。もちろん購入手数料は全て無料です。
 【2023-08-28現在】
分類商品信託報酬換金手数料
株式国内eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)0.143%0%
<購入・換金手数料なし>ニッセイ日経平均インデックスファンド0.143%0%
先進国eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.0937%0%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス0.0988%0%
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド0.0988%0%
SBI・全世界株式インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式))0.1102%0%
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)0.1133%0%
インデックスファンド海外株式ヘッジあり(DC専用)0.176%0%
iFree NYダウ・インデックス0.2475%0%
EXE-i グローバル中小型株式ファンド0.3309%0%
新興国eMAXIS Slim 新興国株式インデックス0.1859%0%
債券国内eMAXIS Slim 国内債券インデックス0.132%0%
先進国eMAXIS Slim 先進国債券インデックス0.154%0%
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)0.176%0%
新興国iFree 新興国債券インデックス0.242%0%
REIT国内<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド0.275%0%
先進国三井住友・DC外国リートインデックスファンド0.297%0%
バランス型eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)0.143%0%
SBIグローバル・バランス・ファンド0.27%0%
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド0.56%0.1%

 以上のようにSBI証券「iDeCoセレクトプラン」は、様々な種類のインデックス投信を取扱っています。取扱っていないのは「新興国REIT」ぐらいでしょうか。
 信託報酬(*年間維持コスト)が低く設定されているのが目を惹きます。一般向けのインデックス投信(インデックスファンド比較ランキング)と同様に、iDeCo(個人型確定拠出年金)向けは信託報酬が安いです。また、換金手数料(*信託財産留保額)についても、0%のインデックス投信が大半です。
 ちなみに、自分は上記「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に加え、「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」というアクティブファンドに投資しています。
 リスクを取るのであれば上記のインデックス投信から、リスクを取りたくないのであれば下記の元本確保型商品から選べばOKです。一般的に、年金保険を中途解約する場合は解約控除が適用され元本割れする可能性があるので、スイッチング(預替え)には注意が必要です。
分類商品信託報酬換金手数料
定期預金あおぞらDC定期1年0%0%

SBI証券:iDeCoセレクトプラン

 SBI証券「iDeCoセレクトプラン」の主なメリットは以下の通りです。
  • 口座管理手数料が完全無料!
  • 低コストかつ豊富な運用商品。
  • 絶大な節税効果:[入口]所得控除・[運用中]運用益が非課税・[出口]退職所得控除。
【確定拠出年金(iDeCo)専用】SBI証券
 

月額管理費が無料の会社

 iDeCo月額管理費が無料なのは上記のSBI証券だけではありません。以下のブログ記事で費用や運用商品などを比較していますので、ご利用いただければ幸いです。
 

確定拠出年金の改正(※2017年1月)

 2015年4月、確定拠出年金法等の改正案が国会に提出されました。2001年に開始されてから、最もインパクトの大きい改正だと思われます。
 改正案によると、公務員や専業主婦に加え、企業型年金プランに加入している会社員も個人型年金プランを、2017年1月から新たに利用できるようになります。今まで個人型年金プランに加入可能だったのが、個人事業主と企業型年金プランに加入していない会社員だけだったので、対象範囲が大幅に広がることになります。
 個人的には、従来までの個人型年金プランの拠出掛金限度額をアップしてほしかったのですが、利用者増大によりサービス内容が拡充される可能性があるのでよしとします。

企業年金制度等の見直しに伴う税制上の所要の措置|厚生労働省
【追記1】2016年4月15日、確定拠出年金法等の改正案が参議院で可決されました。衆議院での審議を経て第190回国会で成立すると思われます。
【追記2】2016年5月24日、確定拠出年金法等の改正案が衆議院で可決され、法案は成立しました。

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確定拠出年金の改正(※2022年4月/5月)

 iDeCo加入の上限年齢引上げ(60歳→65歳)やiDeCo老齢給付金の受給開始時期の上限引上げ(70歳→75歳)などの改正が実施されました。
 

確定拠出年金とNISAのダブル活用

 確定拠出年金には多くの非課税メリットがありますが、残念ながら拠出限度額はさほど大きくありません。個人型年金(iDeCo)の場合、自営業者は月68,000円ですし、会社員にいたっては最大で月23,000円です。そこで別の非課税制度であるNISAを活用し、非課税枠の拡大をはかります。

 NISAは2024年1月より大きく変わります。非課税期間が無期限となり、非課税投資枠が最大で年360万円(生涯投資枠は最大1,800万円)まで拡大されます。

 NISAの損失対策としてはローリスク資産に投資するのが一番なので、NISAにお勧めのローリスク投資商品の通り、国内債券を投資対象とするノーロード・インデックスファンドが無難だと思われます。
 2024年1月からは、非課税枠が年120万円のNISA「つみたて投資枠」を活用するのもありだと思います(※2023年12月以前はつみたてNISA)。損失が生じる可能性はありますが、運用期間が必然的に長くなるので損失リスクを低減することが可能です。毎月少しずつ積み立てていくのも堅実でいいと思います。

 NISAは2023年12月まで非課税期間が制限されていましたが、2024年1月以降はiDeCo(確定拠出年金)と同様に非課税期間が無期限となります。2つの非課税制度を上手に使うことで、賢い資産運用が可能となります。

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