年金積立金の行方

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　2015年7月10日、独立行政法人年金積立金管理運用（ＧＰＩＦ）が、平成26年度の年金積立金の運用状況を公表しました。


平成26年度業務概況書｜ＧＰＩＦ
　運用パフォ－マンスは、収益額が＋15兆2,922億円、収益率が＋12.27％と、素晴らしいの一言です。運用資産額も一年前の126兆5,771億円から、137兆4,769億円へと大きく増やしました。
　保有する国内株式や外国株式の評価額が大きく伸びたことが最大の要因ですが、ＧＰＩＦの方針変更も影響しています。アセットアロケーション（運用資産の構成割合）を大きく変えたのです。

　平成26年度末の運用資産別の構成割合は以下の通りです。


　それに対して、一年前の平成25年度末の運用資産別の構成割合は以下の通りです。

平成25年度業務概況書｜ＧＰＩＦ
　一年前に比べて、国内債券の割合が大きく低下したことが分かります（53.43％→39.9％）。その分、国内株式（15.88％→22.0％）や外国株式（15.03％→20.89％）、外国債券（10.66％→12.63％）が増えています。
　その結果、国内株式や外国株式の上昇の恩恵を、より多く受けたことになります。

　ところで、年金積立金の残高はどのように推移しているのでしょうか。
　ＧＰＩＦのサイトでは、「年金積立金の規模の推移」として、平成13年度末から平成25年度末までをグラフ化しています。

　140兆円～150兆円あった年金積立金は、平成19年度から平成23年度まで減少傾向にあり、一時は120兆円を割り込みました。それが最近になって増加傾向にあります。アベノミクスが大きく影響していると思われます。

　この内訳を詳しく見てみます。
　下記表は、厚生労働省が公表している平成２５年度年金積立金運用報告書の「（参考３－３）年金積立金額（時価）の増減」です。


平成２５年度年金積立金運用報告書｜厚生労働省
　表の一番右が「運用収入を除く積立金の増減」で、毎年5兆円前後減少していることが分かります。要するに、ということです。

　株式は信用リスクや価格変動リスクが高いですし、外国債券は為替リスクが高いです。年金積立金の国内株式（22.0％）・外国株式（20.89％）・外国債券（12.63％）を合わせると55.52％となり、リスク資産が50％を超えることになります。
　平成19年度と平成20年度は、運用収入で年10兆円以上のマイナスを出しました。その当時に比べリスク資産の割合が増えたことにより、株価低迷期には今まで以上のマイナスが生じる可能性が高いです。人口が減る一方なので、いたしかたない側面はありますが、将来の年金給付を積立金の運用収入に大きく依存するというのは、ちょっと怖いものがあります。ただ、世の中には「絶対」はないので、そのようなリスクは受け入れるしかないのでしょう。

　その反面、ＧＰＩＦのアセットアロケーションは、個人投資家の立場からすると非常に参考になります。リスクのとり方やリターンの考え方などが詳細に情報開示されています。無料で入手できる貴重な投資情報と言えるでしょう。
　将来受給する年金は自分の資産ですので、今後ともＧＰＩＦの投資先を視野に入れながら、自分なりに資産運用をしていきたいと思います。

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