ワイヤレスゲートSIMの失速

2015年10月15日、以下の通り株式会社ワイヤレスゲートが業績予想の下方修正を発表しました。売上高：124.7億円→112.5億円（▲9.7%）営業利益：13.5億円→9.6億..

【情報公開日】2015/10/15　【関連タグ】通信回線節約お得

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　2015年10月15日、以下の通り株式会社ワイヤレスゲートが業績予想の下方修正を発表しました。

売上高：124.7億円→112.5億円（▲9.7%）
営業利益：13.5億円→9.6億円（▲28.8%）
当期純利益：8.5億円→6億円（▲29%）

　下方修正の理由として、個人向けSIMサービスの会員数獲得等が想定を下回っていることを挙げており、具体的には次の2点について言及されています。

音声通話プランの提供開始時期が遅れたこと。
他業種を含む新たな事業者の参入が相次ぎ、新規顧客の獲得や通信速度の最高値競争が過熱したこと。

　個人的には、特に2.の要因が大きいと感じます。
　2014年9月1日に、ヨドバシカメラを通じて「ワイヤレスゲート Wi-Fi + LTE SIMカード」を提供開始したときは、思い切った価格設定により人気を集めました。けれども、その後続々と競合が出現するにつれ、価格優位性が薄れるなど、次第に埋没していったような印象を持っています。何か手を打たない限り、このままではジリ貧状態に陥るものと予想されます。

　2015年9月4日、同社は株主通信第12期中間報告書を公表しています。
　その4ページ目に「売上高、営業利益、経常利益、四半期純利益ともに過去最高」として、売上高や営業利益等の5期分の推移が掲載されています。ひときわ目立つのが、2015年12月期の通期見通しの大幅な伸びです。営業利益、経常利益、当期純利益ともにジャンプアップしています。

　ところで、この図をよく見ると、2015年6月の第２四半期の実績値は、通期見通しの半分に達していません。40％前後でしょうか。
　この時点で、残り半分の第３四半期以降で大きく挽回しない限り、通期見通しの到達が困難なことは明らかだったのです。

　また、それに先立って2015年8月7日には、2015年12月期第２四半期決算説明会（アナリスト向け）質疑応答内容を公表しています。
　その中でワイヤレスゲートSIMの現状について、以下のように言及しています。

SIMサービスにつきましては想定より競争環境が厳しかったことから、残念ながら単月の黒字化までには至っていません。第２四半期累計期間におけるSIMサービスの損益としては１億６百万円程度の赤字となり、内訳としては、第１四半期に約６千万円、第２四半期に約５千万円の赤字となっています。

　直近の第２四半期も赤字だったのですね…（ちょっと驚きました）。
　最後は「当サービスにつきましては、今後、会員数の増加とともに黒字転換を見込んでいます」と締めていますが、主販路であるヨドバシカメラが最近になって他社MVNOプランを数多く扱いだしているので、今のままでは難しいような気がします。おそらく思い切った販売促進が行なわれるのでしょう。

　第３四半期の決算発表が2015年11月6日に行われるので、その際にあらためて決算内容を確認したいと思います。

【追記】
　ワイヤレスゲートのMVNOプランを「ヨドバシカメラ」としていますが、現状を考えると「ワイヤレスゲート」に変更した方が良さそうですね。