小規模企業共済とは

小規模企業共済の賢い活用法を具体的に解説。優遇税制、優遇された掛金の前納制度、低利の貸付制度、デメリット等。
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小規模企業共済とは

 経営者(個人事業主や会社役員等)の「退職金」を積み立てる共済制度です。小規模企業共済法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している公的な制度です。

中小機構:小規模企業共済
www.smrj.go.jp/skyosai/index.html

 主な特徴は以下の通りです。
  1. 廃業時や退職時などに共済金等を受取。
  2. 個人事業主や会社役員等が対象。業種による従業員数の基準あり。
  3. 掛金は月1,000円~7万円(500円単位)。
  4. 優遇税制①。納付時:掛金は全額所得控除。
  5. 優遇税制②。受取時:共済金は退職所得または公的年金等の雑所得扱い。
  6. 優遇された掛金前納制度①。1年以内の前納分は支払った年度で所得控除。
  7. 優遇された掛金前納制度②。前納減額金の受取。
  8. 事業資金等の貸付制度の利用が可能。低金利&無担保&無保証。

共済金等の受取

 個人事業主の場合、以下のケースにおいて共済金等を受け取ることが可能です。
 

共済金A

  1. 個人事業の廃業
  2. 個人事業の全部譲渡
  3. 死亡

共済金B

  1. 老齢給付(65歳以上&15年以上の掛金納付)

準共済金

  1. 個人事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合

解約手当金

  1. 任意解約
  2. 機構解約(1年以上の掛金滞納)
  3. 個人事業を法人成りして、その法人の役員になった場合(法人成りした法人が小規模企業者でない場合は準共済金)

 現在の予定利率(=予想される運用利回り)は1%です。今後変更される可能性があります。
 受取額が多いのは「共済金A>共済金B>準共済金>解約手当金」の順です。共済金A・共済金B・準共済金の総受取額は100%以上ですが、解約手当金については掛金納付が20年未満であれば総受取額は100%を下回ります。

小規模企業共済の加入要件

 個人事業主又は会社役員が要件です。個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(最大2名)も対象です。業種によって基準となる従業員数が異なります。

建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業など
20人以下
商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
5人以下
 企業組合や協業組合、農事組合法人の役員、あるいは、弁護士法人や税理士法人等の士業法人などの社員も加入対象です。

 加入できないのは以下のようなケースです。
  1. 配偶者等の事業専従者
  2. 協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人財団法人NPO法人等の役員等
  3. 兼業で事業を行っているサラリーマン(雇用契約に基づく給与所得者)
  4. 学業を本業とする全日制高校生等
  5. みなし役員であっても役員登記されていない場合
  6. 生命保険外務員等
  7. 独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」「建設業退職金共済制度」「清酒製造業退職金共済制度」「林業退職金共済制度」(以下「中退共等」)の被共済者

 加入手続きは、商工会議所や取引のある金融機関等で行います。

掛金は月1,000円~7万円で自由に変更可能

 掛金は、月1,000円~7万円(500円単位)で自由に選択できます。納付は預金口座振替となります。
 月単位で掛金を増減させることも可能です。原則的として掛金を毎月納付しますが、一括して前納することも可能です。

優遇税制

 所得税において優遇されているため、相当な節税効果が見込まれます。
  1. 納付時:掛金は全額所得控除。
  2. 受取時:共済金は退職所得または公的年金等の雑所得扱い。
 納付時には掛金が全額所得控除されるため、また、受取時には退職所得(公的年金等の雑所得)扱いになるので、所得税の納税額が減ります。
 共済金を一括受取した場合、退職所得とされます。そのため前年以前4年以内に別の退職所得(例:確定拠出年金の一時金)がある場合、税負担が増える可能性が高くなるので注意が必要です(参考:小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する)。

 ただし、共済金ではなく任意解約等により解約手当金を受け取った場合、一時所得扱いとされるので税制的にやや不利な扱いとなることに注意が必要です。

共済金および解約手当金は税法上どのように取り扱われますか。
www.smrj.go.jp/skyosai/qa/kyosaikin/000372.html

優遇された掛金前納制度

 掛金を前納すると優遇措置が適用されます。
  1. 1年以内の前納分については支払った年度の所得控除とすることが可能。
  2. 前納減額金の受取。

 前納減額金は以下の算式で計算されます。
  • 前納減額金=掛金月額×0.9÷1,000×(前納月数の累計

 12ヶ月分をまとめて前納した場合の「前納月数の累計」は以下の通りです。
  • 78ヶ月=1ヶ月+2ヶ月+3ヶ月+4ヶ月+5ヶ月+6ヶ月+7ヶ月+8ヶ月+9ヶ月+10ヶ月+11ヶ月+12ヶ月

 毎月、階数的に増加していくのが分かります。
 例えば、月5万円の掛金を12ヶ月分まとめて支払うと、3,510円(=月5万円×0.9÷1,000×78ヶ月)の払い戻しを受けることになります。単純利回りで0.5%(=3,510円÷(月5万円×12ヶ月))となりますが、引き出すことができるのは先の話なので、実質的な年利は大幅に低下します。
 なお、前納減額金については、受け取った年の所得税申告において所得控除を減額します。また、前納減額金が5,000円未満の場合、翌年以降で合計額が5,000円以上になった年に受け取ることになります。

掛金を前納した場合、割引はありますか。
www.smrj.go.jp/skyosai/qa/nofu/000338.html

事業資金等の貸付制度

 掛金総額の範囲内で、事業資金等を低金利・無保証・無担保で借り入れることができます。なお、借入金額に応じた収入印紙が必要となるほか、延滞利子は年14.6%と高めに設定されているなど注意点もあります。

契約者貸付制度について
www.smrj.go.jp/skyosai/051299.html
契約者貸付けの最新の利率について
www.smrj.go.jp/skyosai/rate/064363.html
  • 一般貸付け…1.5%
  • 傷病災害時貸付け…0.9%
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付け…0.9%
  • 福祉対応貸付け…0.9%
  • 緊急経営安定貸付け…0.9%
  • 事業承継貸付け…0.9%
  • 廃業準備貸付け…0.9%

 また、一般貸付けについては借換えも可能です。この場合、借入金を一旦返済してから、新規に借り入れるという形式を取るため、申込手続きが再度必要です。

一般貸付けの借換えはできますか。
www.smrj.go.jp/skyosai/qa/kasituke_b/000359.html

 小規模企業共済は資金の拘束期間が非常に長い制度ですが、契約者貸付制度や一般貸付けの借換えを活用することにより、いざという時の資金繰り対策になります。借入利率と予定利率の差額だけ元本割れしますが、掛金の所得控除による節税効果が上回るケースが多いと思います。

小規模企業共済のデメリット

 税制や掛金前納制度、低利貸付制度などのメリットがあるので非常に魅力的ですが、その反面デメリットもあります。
 

掛金納付20年未満で解約すると元本割れする

 掛金納付20年未満で解約して、解約手当金を受け取ると元本割れします。小規模企業共済における致命的なデメリットと言えます。
 けれども、以下のいずれかの要件を満たせば、掛金納付20年未満で解約しても、解約手当金ではなく共済金として受け取ることになるので、元本割れを避けることができます。
  1. 個人事業の廃業(全部譲渡)
  2. 死亡
  3. 老齢給付(65歳以上)
  4. 個人事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合
 なお、上記3.「老齢給付」については15年以上の掛金納付が要件となります。

 有利な条件の下、20年未満で解約するのであれば、現実的には上記1.「個人事業の廃止」一択となります。この場合、添付資料として廃業届の写し等が必要ですが、税務署等に廃業届を提出すれば足りるので要件的には緩い方だと思います。ただし、個人事業を廃止しても、事業的規模の不動産貸付けが残る場合、「一部廃業」扱いされ要件を満たさない可能性があります。賃貸不動産を所有している方は注意が必要だと思われます。
 なお、65歳以上であれば上記3.「老齢給付」が適用されるので15年以上あればOKです。
 

掛金減額分については運用期間に含まれない

 掛金を自由に減額することはできますが、それ以降の掛金減額分については運用期間に含まれない(=金利がつかない)というデメリットがあります。すなわち、その分については予定利率が反映されないので、無利子で資金を寝かせておくことになります。
 

小規模企業共済の破綻リスク

 2008年度末に9,982億円もあった繰越欠損金(=運用資産-責任準備金)は、2015年度末には25億円まで減っています。しかも(一時的ですが)2014年度末には683億円のプラスになっています。
 運用資産のうち国内債券の占める割合は70%前後なので、運用方針は保守的と言えます。

小規模企業共済資産 平成27年度資産運用状況について|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/dbps_data/_material_/com...
小規模企業共済資産 平成27年度資産運用状況について|中小機構

 他方、加入状況もここ数年は、加入件数が解除件数を上回っています。一時期、解除件数が加入件数をはるかに上回っていたため、在籍件数が減少する一方でしたが、そうした負のスパイラルに歯止めがかかっている状況です。

小規模企業共済 制度の現況|中小機構
www.smrj.go.jp/skyosai/051295.html
小規模企業共済 制度の現況|中小機構

 この先も運用状況や加入状況が順調であれば破綻する可能性は低いと思われます。仮に破綻したとしても小規模企業共済法という法令に基づく制度なので、国がある程度は保証することになるでしょう。
小規模企業共済と国民年金基金の運用状況比較
 先日、小規模企業共済について調べました(小規模企業共済とは、小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する参照)。その際、小規模企業共済の破綻リスクについても検討したのですが、思ったよりも資産運用状況が良好でした。  ..

小規模企業共済の賢い活用法

 小規模企業共済には多大なメリットがある反面、いくつかのデメリットがあります。それらを踏まえた上で、小規模企業共済の活用方法について以下にまとめてみました。
小規模企業共済を無駄なく効率よく利用する
 小規模企業共済は経営者の退職金を積み立てる公的な共済制度ですが、以下のようなメリットがあります。【優遇税制措置】 納付時:掛金は全額所得控除。..

経営セーフティ共済について

 独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度としては、経営セーフティ共済があります。
 この制度は小規模企業共済に比べると税制優遇措置が劣りますが、解約の場合でも3年4ヶ月以上納付すれば掛金が100%以上戻るというメリットがあります。小規模企業共済の20年が、あまりにも長すぎるので、そこをどう評価するかがポイントとなります。
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の賢い活用法を具体的に解説。優遇された掛金の前納制度(前納分も損金算入・前納減額金)等。

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