店頭FX業者のレバレッジ規制25倍に変化なし！

　
　金融庁が「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」報告書を6/13に公表しました。報告書には、自己資本・ストレステストの拡充と取引データの報告制度などが盛り込まれた反面、注目されていた証拠金率の引上げについては除外されました。
www.fsa.go.jp/news/29/singi/2018...

　上記の報告書概要によると、とあるので、店頭FX業者におけるレバレッジ規制25倍の継続が決まりました。

　ここしばらくレバレッジ10倍に引き下げられる可能性が囁かれていましたが、見事に覆したことになります。
　そもそも今回の論議は、店頭FX取引市場の取引規模が年5,000兆円まで拡大したにもかかわらず、店頭FX業者の決済リスク管理が不十分という背景があります。十分な自己資本を有し、決済リスク管理も問題ない店頭FX業者も存在しますが、必ずしも全ての店頭FX業者に当てはまる訳ではありません。

　報告書によると、店頭FX業者の決済リスクとして、

1. 相場変動による未収金（顧客の差入証拠金）の発生リスク
2. カバー取引先の破綻リスク
3. 未カバーポジションに係るリスク

の諸リスクが挙げられていました。

　これらのリスク回避策として、ストレステストを通じた自己資本の拡充が必要とされ、具体的には、

1. 顧客未収金の発生リスク（*評価方法の適正化）
2. カバー取引先の破綻リスク（*リスク要因に追加）
3. ストレステストの実施頻度（*年1回→毎日）

などが提言されています。

　適正なストレステストを通じて、店頭FX業者は自己資本を十分に確保する必要があり、自己資本比率が一定レベルに達しない場合、金融庁は自己資本の積み増しや証拠金率の引上げ（レバレッジ倍率の引下げ）を求めるのが適当だとしています。

　この他には、取引データの報告制度の充実（*日時報告へ変更）などが挙げられていますが、最大の論点である証拠金率（レバレッジ倍率）については、ストレステストを通じた自己資本の充実等の効果が不十分だと判断された場合に限り、あらためて検討するということです。

　レバレッジ規制が25倍から10倍に引き下げられることがなくなったのは、FXユーザーとしては非常に喜ばしいことです。同時に、店頭FX業者の信頼性が高まるような今回の提言についても、FXユーザーの利益だと考えます。

　店頭FX業者にしてみれば、事務作業が増える（＝コストアップ）だけでなく、場合によっては自己資本増強が必要となりますが、長い目で見ると業界の健全性向上に繋がる可能性が高いので、少なからぬメリットがあると思います。何より、レバレッジ10倍に引き下げられることで取引が激減する可能性を回避できたのは大きなプラスでしょう。

　仮にレバレッジ10倍に引き下げられたとするならば、自分の場合、レバレッジ3倍前後で取引することになると思います。現在は7倍前後で取引しているので、損益は2分の1未満に低下します。これではFXの魅力が大きく損なわれるので、正直なところ物凄く辛いです。

　金融庁にとっても金融システムの安定化に繋がる方策なので、誰も損しない素晴らしい結論だと感じました。

「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」報告書の公表について｜金融庁
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