楽天の携帯キャリア参入とKDDIや電力会社との提携

公開日:2018/11/03

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楽天とKDDIの包括的な事業提携

　楽天とKDDIが決済・物流・通信の各事業分野での提携を11/1に発表しました。
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KDDIと楽天、決済、物流、通信分野における事業協争を推進

通信分野における楽天とKDDI（や電力会社）との事業提携

　この中で最も注目されるのが通信分野におけるローミング協定の締結です。楽天が2019年10月より開始するLTE通信サービスに対して、KDDIはau回線を貸し出すことになりました。

　ただし、ローミング協定については以下のような制限があります。

3大都市圏（東京23区・大阪市・名古屋市）を除く
提供期間は2019年10月から2026年3月末まで

　上記1.について。楽天はローミング協定により全国のau回線が使えるようになりますが、3大都市圏については自前で基地局を設置することになります。この3大都市圏の基地局設置については、主に電力会社の設備活用で乗り切る可能性が高いと思われます。楽天は、東京電力・関西電力・中部電力との間で、2018年3月に設備活用について合意しています。

楽天と東京電力グループ、携帯キャリア事業用基地局の設置における設備活用で合意（2018年3月6日）
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楽天、携帯キャリア事業用基地局の設置において関西電力グループの設備を活用（2018年3月27日）
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携帯キャリア事業用基地局の設置における中部電力の電力設備活用について（2018年3月23日）
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　上記2.について。ローミング協定は2026年3月末までですが、

「その期間内に楽天は自前での全国ネットワーク建設を着実に進め、完成した地域から順次、自前ネットワークへ切り替えを行っていきます」

とされています。やはり上記の各電力会社の設備を活用して、自前のネットワークを拡張していくものと思われます。九州電力や北陸電力とも同様の合意を取り付けているので、その他の電力会社に対しても設備活用を働きかけていくものと思われます。

楽天、携帯キャリア事業用基地局の設置において九州電力の設備を活用（2018年4月12日）
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楽天モバイルネットワーク、携帯キャリア事業用基地局の設置において北陸電力の設備を活用（2018年10月29日）
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　楽天モバイルがau回線のMVNOプランを開始したのが10/1です。それから1ヶ月後の11/1にau回線のローミング協定を締結した訳ですが、au回線のMVNOプラン提供時には大筋で合意していたものと思われます。

楽天とKDDIが包括的な事業提携を11/1に発表。最も注目されるのがローミング協定の締結で、楽天が2019年10月より開始するLTE通信サービスにおいてau回線を借りることになりました。楽天モバイルがau回線のMVNOプランを開始したのが10/1ですから1ヶ月しか経過していません。 t.co/ERwKLSdcsl t.co/05VKfG3Bkb
— 最速資産運用 (@mabank_j) 2018年11月1日

　東京電力等との電力設備活用もそうですが、短期間でここまでまとめ上げられるのは凄いの一言で、楽天のやり方は用意周到と言えます。

　もちろんKDDI側にもローミング協定による売上増大というメリットがあります。通信回線の混雑が問題となっている3大都市圏をローミングエリアから外したのも、KDDIにとってはメリットが大きいという見方ができます。
　

決済分野における楽天とKDDIの事業提携

　KDDIが2019年4月より開始するスマホ決済サービス「au PAY」に対して、楽天は決済プラットフォームや加盟店網を提供することになりました。スマホ決済サービスでは楽天ペイが先行しているので、KDDIにとってその基盤を活用できるメリットは非常に大きいと思われます。
　

物流分野における楽天とKDDIの事業提携

　KDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma!(ワウマ)」に対して、楽天は2019年4月より物流サービスを順次提供することになりました。ただし、楽天は「楽天スーパーロジスティクス」や「Rakuten EXPRESS」といった物流サービスを手掛けているとは言え、本格的な取り組みは2018年7月に始まったばかりなのでKDDI側のメリットは不透明です。

楽天、包括的な物流サービスを提供する「ワンデリバリー」構想の実現に向けた取り組みを本格化（2018年7月17日）
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楽天の携帯キャリア参入とKDDIや電力会社との提携まとめ

　楽天の携帯キャリア（MNO）への新規参入は専門家から無謀だと言われましたが、2019年10月開始に向けて着々と準備を進めています。電力会社やKDDI（au）との提携は現実的であり、携帯キャリア参入に対する楽天の本気度を感じます。リスクを抑えながら、問題点を一つ一つ潰していく手法は非常に手堅いと言えます。

　楽天は買収を中心に自前主義で事業を拡大する印象が強いですが、携帯キャリア参入に関しては事業提携を前面に押し出すなどリスク回避を重視した形です。LINEの金融事業拡大と手法が似ていますね。

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