NY原油先物がマイナス38ドルになった理由を調べてみた

　
　ニューヨーク市場のWTI原油先物がマイナス価格を付けました。マイナス価格になったのは2020年5月物（MAY 2020）のNY原油先物取引で、2020年4月20日(月)の終値で「1バレル＝マイナス37.63ドル」になりました。
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　より詳しいチャート（1分足）を見ると、4月20日(月)13時（*NY時間）頃に「1バレル＝4ドル」まで下がった後、14時頃には「1バレル＝0ドル」まで更に下げ、そして14時30分前後には「1バレル＝マイナス40ドル」まで暴落しています。その後、一時的に「1バレル＝マイナス16ドル」まで暴騰するものの、15時過ぎには再度「1バレル＝マイナス37ドル」まで暴落するという怖ろしく荒れた展開でした。

　NY原油先物が「1バレル＝マイナス37ドル」という超異例の投げ売り価格になったのは、以下のような特殊要因があるからです。

• 2020年5月物の取引期限（4月21日）が近づいており、取引の中心は2020年6月物に移行。
• 2020年5月物の取引参加者は少なく、極端な値動きになりやすかった。
• 取引期限に原油現物の受け渡しをしなければならない。
• 新型コロナウイルスの影響で経済活動が停滞し、原油が供給過剰になっている。
• 原油の貯蔵スペースが不足し、保管料が高騰している。

　超割高な保管料を支払うぐらいならば、損を承知で処分するという市場参加者が一時的に激増したようです。原油の保管コストが生産コストを大幅に上回るということは、それだけ経済環境悪化により原油需要が激減していることだと思われます。

　新型コロナウイルスが収束するまで原油の供給過剰状態は続きそうです。

　ちなみに、最も活発に取引されている2020年6月物（JUN 2020）が、NY原油先物の指標として取り扱われます。実際の原油価格により近いと思われる2020年6月物については「1バレル＝22ドル」前後で取引されています。

　現時点でNY原油先物は、2020年5月物（MAY 2020）が「1バレル＝1.76ドル」、2020年6月物（JUN 2020）が「1バレル＝21.82ドル」と低迷していますが、少し先の2020年7月物（JUL 2020）は「1バレル＝27.41ドル」、2020年8月物（AUG 2020）は「1バレル＝29.46ドル」で取引されています。新型コロナウイルスの影響について、市場は極端に悲観していないようです。

　それにしても2020年5月物（MAY 2020）と2020年6月物（JUN 2020）の取引量（Volume）の差は極端です。取引期限の近い2020年5月物の流動性がここまで少ないと、確かに荒れた値動きになりやすいでしょうね。

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