野村證券が格上げされたけれども…(金融機関の格付け動向:2016年12月)

公開日:

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「最速資産運用」更新状況:

銀行格付け比較ランキングを更新

 166件の銀行・信用金庫・信用組合の信用格付けについて確認しました。九州フィナンシャルグループを追加。

保険会社比較ランキング(格付/売上/利益)を更新

 54件の生命保険会社と損害保険会社の信用格付け、及び、取扱い保険商品について確認しました。MS&ADインシュアランス グループ ホールディングスを追加。

証券会社格付け比較ランキングを更新

 28件の証券会社の信用格付けについて確認しました。

金融機関ランキング(顧客満足度分析)を更新

 上位37社の金融機関の格付けや定期預金金利について確認しました。

「最速資産運用」運営者より:

 2016年11月17日、S&Pグローバル・レーティングが野村證券の信用格付けを「A」に変更しました。従来までは「A-」だったので1段階格上げされたことになります。

【S&P】野村HDを「A-」に、野村グループの中核子会社を「A」に格上げ アウトルックは「ネガティブ」
www.standardandpoors.com/ja_JP/w...
野村HDを「A-」に、野村グループの中核子会社を「A」に格上げ アウトルックは「ネガティブ」
 なお、野村證券だけでなく、野村グループ各社も以下の通り1段階格上げされています。
 
会社名
野村ホールディングスBBB+A-
野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズA-A
野村信託銀行A-A

 格上げ理由として第一に挙げられているのは、
野村グループではリスク資産の大幅削減により、リスク調整後自己資本比率が急速に改善した
ということです。
 その中でも
海外ホールセール事業のリスク資産を大幅に削減していること
を高く評価しているようです。「リスク資産」を削減したことにより、資産の下振れリスクが減少したことにより自己資本が厚くなり、リスク耐性も強くなったので、格上げしたということなのでしょう。

 調べたところ、海外ホールセール事業について2016年4月に以下のようなプレスリリースを公表しています。

欧州地域および米州地域におけるビジネス戦略について(2016年4月12日)
www.nomuraholdings.com/jp/news/n...
野村グループの今後のビジネス戦略について(2016年4月27日)
www.nomuraholdings.com/jp/news/n...

 海外事業においては、収益性の低い事業を閉鎖・縮小して、収益性の高い事業に経営資源を集中させるとのことです。いわゆる「選択と集中」です。

 これらは確かに信用格付けにプラスになりますが、気になったのは、格付け会社が収益性に関してほとんど言及していないことです。証券業界の業績は株式相場に左右される上、ネット証券や銀行などとの競争も激しくなっています。そのため売上や利益の動向が気になります。

 と言うことで、野村證券の最新決算書を確認することにしました。

平成28年第2四半期決算資料|野村證券株式会社
www.nomuraholdings.com/jp/compan...

 平成28年第2四半期(2016年4~9月)の営業収益(売上高)等を前期比較してみました。
 
項目H27.4~9月H28.4~9月増減率
営業収益4,109億円3,288億円▲20.0%
経常利益1,194億円566億円▲52.6%
当期純利益805億円403億円▲49.9%

 損益指標は全て減少しており、経常利益や当期純利益などは前期比で半減です。かなり厳しい状況であると言えます。

 この中で営業収益の内訳を見ると、以下の通り、受入手数料だけが大きく減っています。トレーディング損益や金融収益が前期比でプラスになっているのとは対照的です。
 
項目H27.4~9月H28.4~9月増減率
受入手数料2,538億円1,646億円▲35.1%
トレーディング損益1,142億円1,195億円+4.7%
金融収益428億円445億円+4.1%
営業収益計4,109億円3,288億円▲20.0%

 受入手数料には以下のようなものが含まれると思います。
  • 株式や投資信託等の委託手数料
  • 投資信託の信託報酬
  • 上場やM&Aのコンサルタント報酬等
  • ラップ口座の取扱手数料
 ですが、コンサルタント報酬以外についてはローコスト化の流れの押し寄せていることもあり、仮に株式市場が今後盛り上がったとしても大きく増やすことは困難でしょう。例えば、ノーロードのインデックス投信は、販売手数料が無料な上に、信託報酬も年0.3%前後まで下がっています

 なお、トレーディング損益とは自己売買によるもので、金融収益とは信用取引における金利収入等です。今後は、これらの事業ウエイトが高くなっていくものと思われます。と言うより、高めていかなければいけないのでしょうね。

 海外事業の見直しによりリスク資産は減ったかもしれませんが、収益の柱であった受入手数料の落ち込みが目立つので、必ずしも信用力アップには繋がらないような気がします。
 ただ、ここ数年、海外事業は赤字が続いていたようなので、これで海外での赤字垂れ流しが止まるかもしれません。それほどまでに、野村證券にとって海外事業はお荷物だったのでしょうか。



 銀行格付け比較ランキング等を更新しました。前月と比べて格付けの変動があったものについて一覧表示します。

銀行格付け比較ランキング

伊予銀行

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングAA-

京都銀行

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングAA-

野村信託銀行

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングAA-

九州フィナンシャルグループ

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
格付投資情報センターA+(評価なし)

保険会社比較ランキング(格付/売上/利益)

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
日本格付研究所AA(評価なし)

証券会社格付け比較ランキング

野村證券

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングAA-

野村ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングAA-

野村ホールディングス

格付け機関2016-12-02前月 (2016-11-02)
S&Pグローバル・レーティングA-BBB+

 野村證券以外も伊予銀行や京都銀行が格上げされていました。マイナス金利の影響により、収益が悪化していると考えていたので意外な結果です。

 そう言えば、ムーディーズ・ジャパンが「金融機関・商社」の格付一覧の公表を取りやめていました。一時的なことなのか分かりませんが、かなり困っています。復活することを期待します。

【関連タグ】信用格付け 金融株式

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