飲酒運転の損得勘定(もらえる保険金・もらえない保険金)
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[本ページはプロモーションが含まれています]飲酒運転をして事故を起こした場合、道路交通法違反として罰せられるほか、保険金等の支払が著しく制限されます。知らなかったでは済まされないことなので、お酒を飲む習慣のある人は運転免許証の有無に関わらず一読することをお勧めします。
1. 被害者(相手)に支払われる保険金等
飲酒運転が原因で事故を起こして、被害者(相手)が入通院・後遺障害・死亡した場合、被害者(遺族)が受け取ることができる保険金等です。自賠責保険
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 入通院:最高120万円
- 後遺障害:最高4,000万円
- 死亡:最高3,000万円
- 備考
- 加害者が自賠責保険に加入していない場合、政府保障事業によって上記金額が補填される。
自動車保険(任意保険)
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 入通院:対人賠償により支給される
- 後遺障害:対人賠償により支給される
- 死亡:対人賠償により支給される
- 備考
- 加害者が自動車保険(任意保険)に加入している場合。
- 保険金額は契約内容によるが、対人賠償は「無制限」のケースが多い。
自動車保険(任意保険)
- 被保険者(契約者)
- 被害者
- 保険金等
- 入通院:人身傷害等により支給される
- 後遺障害:人身傷害等により支給される
- 死亡:人身傷害等により支給される
- 備考
- 被害者が乗車時に交通事故が起こり、かつ、被害者が自動車保険(任意保険)に加入している場合。
- 人身傷害や搭乗者傷害によって補償される。保険金額は契約内容による。
生命保険
- 被保険者(契約者)
- 被害者
- 保険金等
- 入通院:契約内容による
- 後遺障害:支給される
- 死亡:支給される
- 備考
- 被害者が生命保険に加入している場合。
- 災害入院特約等に加入していれば入通院でも支給される。
医療保険
- 被保険者(契約者)
- 被害者
- 保険金等
- 入通院:支給される
- 備考
- 被害者が医療保険に加入している場合。
健康保険
- 被保険者(契約者)
- 被害者
- 保険金等
- 入通院:社会保険の適用可能
- 備考
- 加入している公的医療保険制度に「第三者行為による傷病届」や「交通事故証明書」を提出する必要がある。
- 被害者にも過失がある場合、健康保険を使った方が有利になる(受取額が多くなる)可能性がある。
被害者(相手)の保険金等まとめ
以上の通り、飲酒運転の事故であっても、被害者(遺族)はある程度の保険金等を受け取ることができます。ただし、加害者が自動車保険(任意保険)に加入していなかった場合、保険金等の受取額は少なくなります。その場合、加害者は自力で賠償しなければならず、非常に大変な思いをすることになります。
2. 加害者(自分)に支払われる保険金等
飲酒運転が原因で事故を起こして、加害者(自分)が入通院・後遺障害・死亡した場合、自分自身が受け取ることができる保険金等です。自動車保険(任意保険)
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 入通院:支給されない
- 後遺障害:支給されない
- 死亡:支給されない
- 車両保険:支給されない
- 備考
- 加害者が自動車保険(任意保険)に加入している場合。
- 飲酒運転は免責事由に該当するので保険金は支給されない。
生命保険
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 入通院:支給されない
- 後遺障害:主契約については支給される
- 死亡:主契約については支給される
- 備考
- 加害者が生命保険に加入している場合。
- 災害割増特約(災害死亡保険金)については、飲酒運転は免責事由に該当するので保険金は支給されない。
医療保険
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 入通院:支給されない
- 備考
- 加害者が医療保険に加入している場合。
- 飲酒運転は免責事由に該当するので保険金は支給されない。
健康保険
障害年金
遺族年金
- 被保険者(契約者)
- 加害者
- 保険金等
- 年金:遺族は全額又は一部を受給できない可能性がある
- 備考
加害者(自分)の保険金等まとめ
以上の通り、飲酒運転の事故だと、加害者(自分)には保険金等がほとんど支払われません。特に、入通院については保険が一切支払われないので注意が必要です。唯一支払われるのは生命保険の主契約で、加害者である自分が後遺障害・死亡の場合だけです。その場合でも、健康保険や障害年金などが支給されないので、非常に厳しい状況に追い込まれます。
3. 自転車の飲酒運転もアウト
さて、ここからが本題?です。飲酒運転には以下の2種類があります。
- 酒酔い運転:アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態
- 酒気帯び運転:政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態
上記2.の酒気帯び運転とは、呼気1リットルにつきアルコールが0.15mg以上ある状態です。免許停止(0.25mg/L以上の場合は免許取消)の行政罰が科せられるほか、懲役3年以下の刑事罰が科せられます。なお、「呼気アルコール濃度0.15mg/L」という基準ですが、一般的にビール350mlを1本飲むだけで超えるようです。飲酒したら数時間は運転しないという習慣をつけましょう。
注意が必要なのは、飲酒運転は、自動車を運転する場合だけなく、自転車を運転する場合にも適用されることです(道路交通法第65条)。
すなわち、自転車の飲酒運転が原因で事故を起こして、自分自身が入通院・後遺障害・死亡した場合、支払われる保険金等は、上記「2. 加害者(自分)に支払われる保険金等」の通り、極端に制限されます。
なお、自転車の飲酒運転で刑事罰があるのは、上記1.の酒酔い運転だけです。上記2.の酒気帯び運転については道路交通法違反ではありますが、刑事罰がありません。
4. 飲酒運転の損得勘定
飲酒運転は非常にリスクのある行為です。そのため、行政罰や刑事罰が定められていますし、保険金等の免責事項に該当します。自動車だけでなく自転車も飲酒運転をすれば同様です。「自転車だから大丈夫」と軽い気持ちで飲酒運転するのは非常に危険です。飲酒した場合、自転車を押して移動するなどの対策が必要です。
自動車や自転車の飲酒運転で事故を起こした場合、保険金等が受給できるか否かをまとめると、以下の通りになります。
保険金等 | 被害者がケガ/死亡 | 加害者がケガ/死亡 |
---|---|---|
自賠責保険 | ◎ | - |
自動車保険 | 〇(*注1) | × |
生命保険 | 〇(*注2) | 〇(*注3) |
医療保険 | × | |
健康保険 | ◎ | |
障害年金 | ||
遺族年金 | ▲(*注4) |
- 注1:加害者が対人補償、あるいは被害者が人身傷害等の自動車保険に加入している場合に受給。
- 注2:被害者が生命保険や医療保険に加入している場合に受給。
- 注3:加害者が生命保険に加入している場合に本契約のみ受給。特約は一切受給できない。
- 注4:遺族年金の全部又は一部を受け取ることができない可能性がある。
飲酒事故を起こすと、被害者への多大な賠償義務が発生するだけでなく、自分が入通院・後遺障害・死亡した場合に物凄い不利益を被ります。大ケガをしても一切の保険がきかないのです。また、障害年金を受け取ることはできませんし、遺族年金の全部又は一部を受け取ることができない可能性があるので、扶養親族がいる場合は絶対に飲酒運転をしてはいけません。
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お酒を飲むのは楽しい行為ですが、損得勘定を考えると飲酒運転は割に合いません。
飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」みんなで守ろう 3つの約束|政府広報オンライン
www.gov-online.go.jp/useful/arti...

5. 関連法令
道路交通法
law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35...第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
(中略)
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
(中略)
十七 運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
(中略)
八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
(中略)
十一 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
(中略)
十七 運転 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
第六十五条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
三 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
道路交通法施行令
law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35...第四十四条の三 法第百十七条の二の二第三号 の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。
健康保険法
law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11...第百十六条 被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。
第百十七条 被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる
第百十七条 被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる
厚生年金保険法
law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29...第七十三条 被保険者又は被保険者であつた者が、故意に、障害又はその直接の原因となつた事故を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は、支給しない。
第七十三条の二 被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。
第七十三条の二 被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。
国民年金保険法
law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34...第六十九条 故意に障害又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は、支給しない。
第七十条 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
第七十条 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
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