マイホーム借上げ制度とは
マイホーム借上げ制度、かせるストック(移住・住みかえ支援適合住宅)、再起支援マイホーム借上げ、おまかせ借上げ制度のメリットやデメリット等。
【最終更新】(※情報登録:2010/07/20)
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マイホーム借上げ制度の概要
マイホーム所有者が、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)に対して、所有する住宅の借上げを申し込み、JTIが転貸する制度です。不動産の流動化、及び、老後の安定収入確保などを目的とします。- 終身型:貸主が死亡するまで終身で借上げ。3年ごとの定期借家契約なので、契約期間満了時に退出してもらうことが可能。
- 期間指定型:貸主が指定した期間だけ借上げ。期間中の中途解約は不可などの条件あり。
マイホーム借上げ制度|JTI
www.jt-i.jp/lease/
要件等
- 日本に居住する50歳以上の方、または海外に居住する50歳以上の日本人、及び両者の共同生活者(1名まで)。
- ライフスタイルの変更(子育てが終わり、夫婦二人の生活になるなど)により、マイホームの住み替えを検討している。
- マンション等に引っ越してもマイホームを手放したくないが、老後の安定収入を確保するために賃貸したい。
- 原則的にマイホームに抵当権等がついていないこと。
- 建物診断(耐震診断)を自己負担で受けること。
- 建物が事業用物件でないこと。店舗兼用住宅や賃貸併用住宅の場合、自宅部分が2分の1以上であれば申請可能。
- マイホームが建築基準法に違反していないこと。
貸主のメリット
- 終身型の場合、JTIがマイホームを一生涯借り上げ。空室時も最低保証賃料が入る。保証賃料は、JTIの事業収益(管理運営収入や協賛企業等からの会費など)を原資とするが、万一の場合は一般財団法人高齢者住宅財団に設定されている5億円の債務保証基金を取り崩して対応。
- 終身型の場合、転貸借契約(定期借家契約)が3年ごとに更新されるので、中途解約することが容易。
- マイホームの修繕費用等については、家賃収入でまかなうことが可能だし、JTI協賛金融機関の提携ローンを利用することも可能。
- ハウジングライフ(住生活)プランナーの助言を受けることが可能。
貸主のデメリット
- 賃料収入が相場の85%前後であり、そこから15%の管理運営費等が控除される。
- 借上げ時の建物調査結果によっては、補強改修工事が必要になる。
- 礼金が入ってこない。
- 原則的に年齢制限(50歳以上)がある。
借主のメリット
- 建築基準法をクリアした良質な住宅を、相場より安く借りることが可能。
- 敷金や礼金が不要。(契約時に1ケ月分の仲介手数料は必要)
- 連帯保証人が不要。
- 畳・建具・壁紙等のリフォームを自分で行なうことが可能。
- 終身型の場合、3年ごとに優先して再契約が可能。
借主のデメリット
- 敷金や礼金は不要であるが、その反面、耐震補強等の修繕を除き、畳・建具・壁紙・流し台等のリフォームを行なわずに現状のまま転貸される。
- 連帯保証人は不要だが、その反面、保証人不要システムを採用しているので、契約時に月額賃料の50%の保証料が必要(契約後1年ごとに10,000円)。
- 終身型の場合、契約が3年ごとに更新されるが自動更新ではないので、貸主の意向によっては退去しなければいけない。
かせるストック(移住・住みかえ支援適合住宅)
JTIの基準を満たした新築住宅を認定する、上述のマイホーム借上げ制度と同様の制度です。認定マイホームの所有者が、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)に対して、所有する住宅の借上げをいつでも申し込むことが可能となります。特徴としては、50歳以上という年齢制限がないことです。JTI協賛社員会社が施工販売する新築住宅が要件であり、証明書が発行されます。
かせるストック|JTI
www.jt-i.jp/stock/
再起支援借上げ制度
住宅ローン返済が厳しくなった場合、状況が改善されるまでの間、一時的にマイホームをJTIに借り上げてもらうことで、賃料収入をローン返済原資に充当することが可能になります。その間、実家などで親族と同居したり、賃料の安い物件に引っ越したりして対応します。上述のマイホーム借上げ制度と同様の特徴(空家保証や3年の定期借家契約など)を持つことに加え、50歳以上という年齢制限がなくなります。
住宅ローン返済が厳しくなった場合、マイホーム売却前に検討すべき制度です。
再起支援借上げ制度|JTI
www.jt-i.jp/lease/comeback/index.html
定期借地権特例
定期借地権の設定を受けた物件を所有している場合、50歳未満でもマイホーム借上げ制度を利用することができます。定期借地権特例|JTI
www.jt-i.jp/lease/stated-tenancy/index.html
海外転勤者向け特例
海外に転勤となった場合、50歳未満でもマイホーム借上げ制度を利用することができます。海外転勤者向け特例|JTI
www.jt-i.jp/lease/stated-tenancy/index.html
おまかせ借上げ制度
空き家対策の一環として、古い一戸建をJTIが10年以上の定期借家契約で借上げ、JTIが必要な工事を行った上で転貸する制度です。年齢制限はありませんが、マンションは対象外です。マイホーム借上げ制度との最大の違いは、建物診断(耐震診断)を自己負担で受ける必要がないことです。耐震改修が必要な場合でも、JTIが500万円を限度に負担するので、初期負担額が大幅に軽減されます。
ただし、JTIが耐震改修工事を実施した場合、月々の賃料収入は少なくなります。これは、JTIが改修費用を家賃の一部から長期間をかけて回収するためです。
おまかせ借上げ制度|JTI
www.jt-i.jp/pdf/diystart.pdf
制度の現状
残念ながらほとんど利用されていない状況にあります。2016年8月19日時点において、募集中のJTI賃貸住宅が全国で50件という数字が制度の現状を見事に表わしています。メリットは分かるのですが、手続き等が多い上に、様々なデメリットがあるためでしょう。JTI賃貸住宅情報|JTI
www.jt-i.jp/rent/bukken/index.html
一番の問題点は、JTI協賛事業者にとってメリットが見えてこないことです。以下が報酬体系です。
- 制度利用申込書を得た場合:1契約15,000円
- 転貸賃料の5%(管理委託手数料)
- 転貸借契約の締結、再契約時の媒介手数料(転借人等より)
- 宅建協会会員であること。
- ハウジングライフ(住生活)プランナーの取得・登録をすること。(講習と試験が必要)
- 会社謄本、決算書類等を提出すること。
- 年12万円の登録費用を支払うこと。
JTI協賛事業者募集の概要
www.chinkan.jp/system/up_info/info_file1_7.pdf
制度自体は素晴らしいですし、中でもおまかせ借上げ制度は空き家対策として有効だと感じます。おまかせ借上げ制度を突破口として、借上げ制度利用者を増やすような政策を国や自治体に期待したいところです。
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