相続財産の探し方・調査方法・財産目録の作成
預貯金や不動産、借入金などの相続財産の探し方や調査方法について解説。情報登録: [本ページはプロモーションが含まれています]
人の死と相続の開始
身内が突然亡くなることがあります。悲しみにくれる暇もなく、葬儀の手配や役所への届出、そして相続に関する諸々の手続きが必要となります。けれども、実際に何をどのようにすればいいのか分かっている人は少ないと思われます。民法第882条において「相続は、死亡によって開始する。 」と定められています。死んだ瞬間から相続は開始します。
財産目録の作成
相続財産を確定する第一歩として、故人(被相続人)の財産目録を作成します。財産目録を作成するにあたり、まずは「正の相続財産」をリストアップします。- 不動産(土地や建物)
- 預貯金
- 保険証券
- 有価証券(株式や債券など)
- 出資持ち分(非上場株式)
- その他動産(貸付金、自動車、美術品、宝飾品など)
次に「負の相続財産」をリストアップします。マイナスの財産(負債)も相続しなければなりません。
- 借入金(債務保証を含む)
- 未払金(未払税金など)
特に「負の相続財産」を把握することについては、財産相続後の火種になりかねないので重要です。
相続財産の調査にあたり必要なもの
相続財産について、公的機関や金融機関等に問い合わせる際、以下のようなものが必要となります。- 被相続人が亡くなったことが確認できる戸籍謄本など。
- 被相続人との続柄が確認できる戸籍謄本など。
- 問合せ者(法定相続人)の実印や印鑑証明書。
- 法定相続人全員の実印を押した委任状及び印鑑証明書。
相続財産の探し方(不動産)
被相続人が不動産を所有していたかどうかは、登記識別情報や登記済証(権利証)だけでなく、固定資産税を毎年支払っていたか否かでも分かります。固定資産税の領収証や納税通知書、課税明細書を探しましょう。また、不動産所得があり、確定申告していた場合は、確定申告書の控を探します。領収証や納税通知書には通知書番号しか記載されていませんが、課税明細書には各不動産の所在地や固定資産税課税標準額等の詳細が記載されています。なお、被相続人の全ての不動産の詳細について把握したい場合、市区町村役場の固定資産税課(税務課)に固定資産課税台帳(名寄帳)の写しを請求します。これは不動産所在地の市区町村ごとに必要な手続きです。
相続財産の探し方(預貯金)
被相続人の預金通帳や口座開設届、キャッシュカード、振込明細等を探します。通帳等が見つかったら、その金融機関に残高証明書を発行してもらって金額を確定させます。通帳等が見つからなくても、以下の資料から推測することが可能です。
- 見つかった通帳の取引履歴。
- 被相続人の過去の確定申告書や年末調整関係書類。
手元にない被相続人の確定申告書については、申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)の手順で、税務署に閲覧を申請します。
手元にない被相続人の年末調整関係書類については、被相続人の勤務先に閲覧を依頼します。
預貯金している可能性が高いと推測される金融機関に対しては「残高照会」を依頼します。その際、支店ごとに照会するのではなく、全店照会(名寄せ)します。口座残高が多いと推測される金融機関に対しては、迅速かつ確実に残高照会するために、内容証明郵便で依頼することを検討します(特に相続人同士で揉める可能性がある場合)。なお、ペイオフ(1金融機関あたり元本1,000万円まで預金保険法により保証)に備え、各金融機関は名寄せ作業を行なっているはずです。
ただし、手間だけでなく、費用もかかるので、残高照会の依頼先については慎重に吟味した方がいいでしょう。
相続財産の探し方(保険証券)
被相続人の生命保険の保険証券や契約書類を探します。保険証券等が見つかったら、その保険会社に連絡を取り、その他に保険契約がないか確認します。保険証券等が見つからなくても、保険料を支払っていれば、通帳の取引履歴や領収証等から分かります。また、保険会社からは生命保険控除証明書等の各種書類が被相続人宛に毎年送付されます。
前述の預貯金と同様、被相続人の過去の確定申告書や年末調整関係書類から推測することも可能です。保険料を支払っている場合、生命保険料控除を受けている可能性があります。
相続財産の探し方(有価証券)
被相続人の有価証券(株式や債券等)や口座開設届、取引書類等を探します。有価証券等が見つかったら、その証券会社等に連絡を取り、その他に有価証券等がないか確認します。有価証券等が見つからなくても、通帳の取引履歴から分かる場合があります。また、証券会社等からは「特定口座年間取引報告書」などの各種報告書が、株式を保有している会社からは株主総会通知や配当通知等が、それぞれ被相続人宛に定期的に送付されます。
前述の預貯金と同様、被相続人の過去の確定申告書から推測することも可能です。配当を受け取った場合は配当所得を、株式取引があった場合は譲渡所得を申告している可能性があります。
相続財産の探し方(インターネット取引)
金融機関や証券会社と、主にインターネットで取引している場合があります。口座開設届や定期的に送付される各種報告書等が見つかればいいのですが、見つからない場合は、被相続人のパソコンやスマートフォン等を調べる必要があります。電子メールの内容に加え、インストールされているアプリ、ブラウザのブックマークや履歴等を確認します。
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相続財産の探し方(借入金)
金銭貸借契約書やキャッシュカード、利用明細書等を探します。各種ローンについては通帳の取引履歴で確認できます。以下の信用情報機関に対して、被相続人の情報開示請求することも可能です。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 一般社団法人全国銀行個人信用情報センター
- 株式会社日本信用情報機関(JICC)
相続・相続放棄・限定承認
「正の相続財産」が「負の相続財産」より多かった場合、相続税がかかってくる可能性があります。各相続人は、相続財産を、①相続するか、②相続放棄するか、③限定承認するかを選択します。なお、②相続放棄と③限定承認については、相続開始から3か月以内に家庭裁判所において手続き(申述)をする必要があります。
相続後の手続
相続財産については、被相続人から相続人へ名義変更等を行ないます。不動産については、管轄の法務局において登記手続きをします。自分でもできますが、司法書士に依頼した方が無難です。
預貯金については、名義変更ではなく、解約した上で払い戻しするケースも多いと思われます。金融機関ごとに書式や手続きが異なるので、残高証明書の発行や残高照会を請求するときに、解約・払戻依頼書(名義変更請求書等)を一緒に取り寄せておいた方が手間が省けます。
相続人に苦労させないためにも財産目録を作成しておく
相続財産探しを苦労させないためにも、財産目録を作成することをお勧めします。財産目録といっても残高まで記載する必要はありません。「財産がどこにあるか」だけで十分です。メモ書き1枚あるだけでも、相続人の苦労は大幅に軽減されます。
財産目録を作成するにあたり、まずは「正の財産」をリストアップします。
次に「負の財産」をリストアップします。
- 借入金(※借入先と連絡先)
- 未払金(※借入先と連絡先)
財産目録の例は以下の通りです。「資産負債名」と「場所」は必須です。
資産負債名 | 場所 | 金額 | 備考(連絡先等) |
---|---|---|---|
不動産 | ●●県××市 | △△町▼▼番地 他5件 | |
預金 | ●●銀行××支店 | 約×××円 | 2口 |
借入金 | 金持太郎(●●県××市) | 約×××円 | 2015年5月現在。連絡先03-XXXX-XXXX |
なお、財産目録に「金額」の記載があれば、相続対策(納税資金の準備や節税)も可能となります。遺産相続税診断ソフトでシミュレーションすることができます。
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当然ながら、財産目録を作ることは、自分にとってもメリットがあります。忘れていた財産が見つかるかもしれませんし、未利用財産等の収益化に繋がるかもしれません。ライフプラン・シミュレーションも精度の高いものになることでしょう。
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